1998 Fiscal Year Annual Research Report
分子フッ素のエノン系への付加を基盤とする位置選択的フッ素導入法
Project/Area Number |
09672133
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
佐藤 雅之 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (80004654)
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Keywords | 分子フッ素 / 位置選択的フッ素化 / α-フルオロカルボニル化合物 / γ-フルオロ-β-ケトアミド / 3-フルオロ-2-キノロン |
Research Abstract |
1. 分子フッ素を活用する含フッ素合成子の高効率合成 α-フルオロカルボニル化合物は最も基本的な含フッ素化合物の合成子であるが,カルボニル化合物のフッ素化は一般に困難であった.著者は,最も安価な親電子フッ素化剤である分子フッ素を活用し,カルボニル化合物のα位にフッ素を導入する手法を開発した.第一に,カルボニル化合物のα位をホルミル化してα-ヒドロキシメチレン基を導入後,分子フッ素でフッ素化し,一般に高い収率でα-フルオロカルボニル化合物を得ることに成功した.このフッ素導入法は,反応条件が緩和なうえ,極めて位置選択的であり,α-フルオロエステルやニトリルを含む広範なフルオロ化合物の合成に有用である.第二に,アセトアセタニリドを直接フッ素化し,α-フルオロ体を合成することに成功した.第三に,ジケテンにフッ素を反応させ,γ-フルオロアセトアセチルフルオリドを合成することに成功した.これにアミン,アルコールを反応させ,対応するγ-フルオロ-β-ケト酸誘導体を容易に合成できた. 2. 複素環化合物への位置選択的フッ素導入法 医薬品の母核として有用な複素環への位置選択的フッ素導入法を研究した.その結果,4位に酸素官能基をもつ2-ピロン,ピリドン,キノロンの3位が分子フッ素により選択的にフッ素化できることを見い出した.また,前記の含フッ素合成子を活用し,3-フルオロ-2-キノロンなどの含フッ素複素環化合物の簡便な合成に成功した.
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