1997 Fiscal Year Annual Research Report
フェニルアラニン転移リボ核酸関連超修飾ヌクレオシドの合成
Project/Area Number |
09672140
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
板谷 泰助 金沢大学, 薬学部, 助教授 (20019657)
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Keywords | 転移リボ核酸超修飾ヌクルオシド / 光学活性β,γ-不飽和アミノ酸 / 高立体選択的ウィッテイッヒ反応 / 環状炭酸ジエステル水素化分解 / オスミウム酸化 / キラルHPLC |
Research Abstract |
ラット肝フェニルアラニン転移リボ核酸を構成する37位のヌクレオシドの構造は,ヒドロキシワイブチンの3-β-D-リボフラノシル体であると推定されているにすぎず,単離して同定されたわけではない.その塩基部は,筆者らによって既に合成されたβ-ヒドロキシワイブチンの2種のジアステレオマ-のいずれかであると考えられるものの,生体試料からのサンプルがないために構造が確定していない.本研究は,β-ヒドロキシワイブチンの合成法を踏襲して当該ヌクレオシドの合成を達成するための予備実験として,塩基部の合成法の改良を検討し,次のような成果を得た. 1.縮合3環性アルデヒドと塩化ホスホニウムを用いるウィッティッヒ反応を検討し,塩化ホスホニウムの代わりに分子内塩型ホスホニウムを用いることによって,β,γ-不飽和アミノ酸型重要合成中間体の収率を倍増させることができた. 2.上記β,γ-不飽和アミノ酸のオスミウム酸化の立体選択性が溶媒によって影響をうけることを見いだした. 3.オスミウム酸化成績体から環状炭酸ジエステルへの変換を,トリエチルアミン存在下塩化オキザリルによる従来法からピリジン存在下ホスゲンを用いる方法に変えることによって収率の改善に成功した. 4.上記環状炭酸ジエステルの水素化分解の選択性が触媒によって異なることを見いだし,ヌクルオシドレベルでは白金を用いるのが有望であることが分かった. 5.β-ヒドロキシワイブチンのラセミ体を合成し,キラルHPLCによる分離条件を設定したことによって,β-ヒドロキシワイブチンの両異性体とも光学的に純粋であることを確定した. 上記の重要工程の改良によって,困難が予想されていたヌクレオシドルベルの合成が現実的になったと考えられる.
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