1999 Fiscal Year Annual Research Report
Helicobacter pylori除菌を指向した天然抗潰瘍薬物の研究
Project/Area Number |
09672143
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉田 隆志 岡山大学, 薬学部, 教授 (20025696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 抄子 岡山大学, 薬学部, 助手 (20243488)
波多野 力 岡山大学, 薬学部, 助教授 (50127578)
平井 義一 自治医科大学, 医学部, 教授 (00127581)
伊東 秀之 岡山大学, 薬学部, 助手 (70253002)
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / 抗潰瘍 / 抗ピロリ菌作用 / 天然薬物 / ポリフェノール / エラジタンニン |
Research Abstract |
近年、胃潰瘍や胃炎さらには胃癌などが、胃内ピロリ菌感染との関連性で議論されている。それら疾病の治療、予防に対してピロリ菌の除菌の有効性を示す実験事実が数多く示されてきており、安全かつ有効な除菌剤の開発が待ち望まれている。 本研究課題は各国伝統医学で、胃潰瘍、胃炎、整腸等消化器系疾患に利用されてきた天然薬物、生薬から諸種生理活性物質を探索し、それらについての系統的抗ピロリ菌活性の検討に基づいて、有効かつ多機能性天然抗潰瘍作用物質を開発することを目的とするものである。 本研究課題に関する過去2年間の研究において、古くから整腸剤、消炎剤として繁用されてきた生薬類から新規抗酸化性、抗菌性ポリフェノール成分の探索を目的として検討し、カバノキ科、トウダイグサ科植物、マメ科植物等から数種の新規活性物質を単離し、それらの構造決定を行ってきた。 今年度も、引き続き上記植物中の成分を精査するとともに、新たにバラ科、ノボタン科、フトモモ科、植物についてスクリーニングを行い、新たに新規物質として、加水分解性タンニン12種、フェノール性配糖体4種を単離し、化学構造を解明した。これらについて、抗ピロリ作用を検討し、加水分解性タンニンが、他のタイプの化合物に優る作用物質であることをさらに確認した。 抗ピロリ作用の評価に当たって、新たに血清培地での最小発育阻止濃度(MIC)を検定し、無血清培地での結果より1希釈倍数だけ、値が大きくなる(活性減少)ことを確認したが、その活性は他の既存の天然物と比べてもかなり強いことには変わりがなく、さらなる研究が望まれる、という結果を得た。 この結果を踏まえて、今までに見出してきた種々のタイプの化合物群のうち、最も強い抗ピロリ菌活性を示した化合物(Tellimagrandin II)について、胃内粘液層への浸透モデルとして、フォスファチジールコリンからなるリポソームヘの吸収実験を行い、興味ある知見を得た。今後さらに本実験結果を解析し、その有効性を確認すると共に抗潰瘍作用への可能性を探りたい。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] L.-G. Chen: "Macrocyclic Ellagitannin Dimers, Cuphiins D1 and D2, and Accompanying Tannins from Cuphea hyssopifolia"Phytochemistry. 50・2. 307-312 (1999)
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[Publications] Yoshiaki Amakura: "Acalyphidins M1,M2 and D1, Ellagitannins from Acalypha hispida"Phytochemistry. 50・4. 667-675 (1999)
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[Publications] Sumiko Shiota: "Great Reduction in the MIC of β-Lactams in Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus by Epicatechin gallate, an Ingredient of Green Tea"Biological & Pharmaceutical Bulletin. 22・12. 1388-1390 (1999)
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[Publications] J. H. Isaza M: "Monochaetin, a Di-hyperin Ester of Tetrahydroxy-m-truxinic Acid from Monochaetum multiflorum"Chemical & Pharmaceutical Bulletin. 47・10. 1510-1511 (1999)
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[Publications] Takashi Yoshida: "Tannins and Related Polyphenols of Melastomataceous Plants. VIII. Nobotanins L, M and N, Trimeric Hydrolyzable Tannins from Tibouchina semidecandra"Chemical & Pharmaceutical Bulletin. 47・6. 824-827 (1999)
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[Publications] Tsutomu Hatano: "C-Glycosidic Flavonoids from Cassia occidentalis"Phytochemistry. 52・7. 1379-1383 (1999)
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[Publications] Georg G. Gross: "Plant Polyphenols 2 Chemsitry, Biology, Pharmacology, Ecology"Kluwer Academic/Plenum Publishers. 926 (1999)