1998 Fiscal Year Annual Research Report
動的超分子の分子認識機能解析による生薬の活性発現に関する研究
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09672147
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Research Institution | NAGASAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
河野 功 長崎大学, 薬学部, 教授 (20038607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姜 志宏 長崎大学, 薬学部, 助手 (20291536)
田中 隆 長崎大学, 薬学部, 助教授 (90171769)
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Keywords | 超分子 / アシル化フラボン / 会合 / ギンコライド / イチョウ葉 / クレフト / 漢方薬 / 超分子 |
Research Abstract |
生態系で機能している反応は、基本的に特定の機能を持つ分子が特定の目的分子と相互作用を行い、それ以外の分子に対しては影響を与えないという事によって、ランダムな外界から区別された自立的な組織を作るものと理解できる。この様な機能を一般に「分子認識」と呼んでいるが、これら生体系に見られる分子が示す分子認識能と同等の機能が漢方薬の湯煎抽出時に再現されると仮定すると、単独では溶解しない成分が容易に溶解・抽出される現象が理解できる。 分子が錯体を形成するには、イオン結合やπ-π相互作用など他の要因も考えられ、一般に複雑な要因に左右される。ここではモデルを単純化するため一つの大黄中のアントラキノンとプロアントシアニンの相互作用を検討し、二つ目にはイチョウ葉中のアシル化フラボノイド配糖体によってできるクレフトについて検討した。 まず、大黄中の成分間の相互作用については、NMR測定管中でプロシアニジンのガロイル基とアントラキノン分子の糖部を持つ側の下部のプロトンケミカルシフトが大きく移動することから、これらの部分で相互作用していることが明らかとなった。この事はn-octanolと水間の分配計数を検討することによっても裏付けられた。次にイチョウ葉中から得られる特異な構造を持つアシル化フラボノイドが、フラボン核とアシル基のクマロイル基の間に弱い裂け目(クレフト)を形成することが予想され、これが会合の引き金になることを期待して検討し、興味深い結果を得た。すなわち、このフラボン配糖体は水に溶解すると、そのクレフトを用いて自己会合し、水に不溶の沈殿を生成する事が分かった。また、この能力が先に述べた超分子形成に役立つか、同じイチョウ葉成分のテルペンとの会合実験を試み、これらが弱い超分子体を形成していることが示された。
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[Publications] Z.-H.Jiang,I.Kouno et al.: "Three Triterpenes and a Triterpene Ferulate from Rhoiptelea chiliantha" Chem Pharm.Bull.46. 512-513 (1998)
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[Publications] T.Tanaka,I.Kouno et al.: "Distribution of Ellagic Acid Derivatives and a Diarylheptanoid in Wood of Platycarya strobilacea" Phytochemistry. 47. 851-854 (1998)
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[Publications] T.Tanaka,I.Kouno et al.: "Synthesis and Antioxidant Activity of Novel Amphipathic Dervatives of Tea Polyphenol" Bio.& Med.Chem.Lett.8. 1801-1806 (1998)
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[Publications] Z.-H.Jiang,I.Kouno et al.: "Triterpenes,triterpene esters and triterpene glycosides from Rhoiptelea chiliantha and chemotaxonomy of Rhoipteleaceae" Proceedings of the Int.National Symp.27-38 (1998)