1998 Fiscal Year Annual Research Report
シクロフラクタンの化学的構築法の開発と分子包接機能の解明
Project/Area Number |
09672154
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
梶 英輔 北里大学, 薬学部, 教授 (60050598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広谷 聖子 北里大学, 薬学部, 助手 (20050594)
原田 和穂 北里大学, 薬学部, 助手 (00189698)
矢後 和夫 北里大学, 薬学部, 教授 (10276157)
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Keywords | 環状オリゴ糖 / シクロフラクタン / 包接化合物 / クラウンエーテル / フルクトース / フルクトシル供与体 / フルクトシル受容体 / X線結晶解析 |
Research Abstract |
難溶性医薬品の可溶化のための新規包接素材の開発を目的として、ポリエーテル環を含むシクロフラクタン(CF)に着目し、その効率的化学合成法の開発と合成されたCF類縁体の機能解明を実施した。 平成10年度は昨年度に引き続いてCFの構築ブロックとなるフルクトシル供与体と受容体の効率的合成法を検討した。その結果、D-フルクトースから2工程、収率64%で1,2-O-isopropylidene-β-D-fructopyranoseを合成し、さらに遊離の水酸基をベンジル化(定量的)することにより、1,2-位を一時保護基で、3,4,6-位を永久保護基で修飾した完全保護体(1)を合成した。さらに1の結晶化に成功したので、X線結晶解析法による立体配座解析を実施し、1C型のβ-D-pyranose型であることを確認できた。 つぎに、1の脱イソプロピリデン化により1,2-位水酸基遊離のフルクトース(2)としたのち、部分アセチル化を行い、1位のみが選択的にアセチル化されたl-O-アセチル誘導体(3,70%)を得た。この3からフルクトシルフルオリド(4,92%)およびイミデート(5,23%)を調製することができた。そこで先に得られた3を受容体とし、フッ化糖4(供与体)によるフルクトシル化を検討した。種々の条件検討の後、CP_2HfCl_2-AgClO_4/CH_2Cl_2を用いる条件で、フルクトシルβ(2→1)フルクトース(6,60%)を得ることができた。本化合物は各種スペクトルデータを解析した結果、シクロフラクタン類縁体のうち、最小の環サイズを有する重合度(DP)2のcyclo-β-D-fructopyranosyl-(2→1)-β-D-fructopyranoseであると決定した。すなわち著者らは上記の合成法により、DP2のCFの化学合成に初めて成功した。
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