1999 Fiscal Year Annual Research Report
クワカルスのステロール生合成を指標とした高脂血症改善薬の開発基礎研究
Project/Area Number |
09672168
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
野村 太郎 東邦大学, 薬学部, 教授 (90057505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 潤 東邦大学, 薬学部, 助手 (70287548)
羽野 芳生 東邦大学, 薬学部, 助教授 (00156382)
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Keywords | Morus alba / Morus bombycis / カルス / イソプレン生合成 / 脂肪酸 / β-酸化 / トリカルボン酸回路 |
Research Abstract |
クワ(Morus alba L.)のカルスにはHMG-CoA還元酵素阻害剤のcompactinに対して感受性および非感受性の2種の独立したイソプレン生合成経路のあることを明らかにしており,イソプレニルカルコン誘導体におけるイソプレン生合成経路は非感受性である。さらに,C-13標識酢酸を投与した場合,compactin非感受性のイソプレン生合成経路において取り込まれる酢酸は投与した酢酸がトリカルボン酸回路を経由してしている。この現象がMorus alba L.カルスに特異的であるか否かをMorus bombycisカルスを用いて検討した。C-13標識酢酸を投与したM.bombycisカルスよりβ-sitosterolおよびイソプレニルカルコン誘導体としてchalcomoracinを分離し、各々のC-13 NMRスペクトルを測定した。その結果,β-sitosterolには投与した標識酢酸がそのままの形で取り込まれていたが,chalcomoracinのイソプレン部分の標識様式は投与した酢酸がトリカルボン酸回路を経由して再構成された標識酢酸によるものであった。この実験事実は,M.bombycisカルスがM.albaカルスと同じ二つの独立したイソプレン生合成経路ならびに代謝機構を有していることを示した。また,M.albaカルスでは脂肪酸のイソプレン生合成への関与が認められているが,C-13酢酸の標識様式からM.bombycisカルスにおいても脂肪酸の関与が示唆された。イソプレン生合成に脂肪酸代謝が関与してことを明らかにした例は初めてであり,イソプレン生合成阻害剤の開発において脂肪酸代謝を視野に入れる必要性のあることが推察された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yoshio Hano: "Dual p-Coumaroyl CoA Biosynthesis in Morus alba Cell Cultures"Heterocycles. 50・(2). 989-994 (1999)
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[Publications] Taro Nomura: "Studies on the Optically Active Diels-Alder Type Adducts from Mulberry Tree"Towards Natural Medicine Research in the 21st Centuy. 379-390 (1999)
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[Publications] 羽野 芳生: "イソプレンの新しい生合成経路"ファルマシア. 34・(2). 142-146 (1998)