1998 Fiscal Year Annual Research Report
タキサン骨格の新規合成法の開発とタキソール及び関連化合物の合成研究
Project/Area Number |
09672170
|
Research Institution | MEIJI PHARMACEUTICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
長岡 博人 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (30155915)
|
Keywords | タキサン骨格 / タキソール / フラグメンテーション反応 / ニトリルオキシド / 分子内環化反応 / 合成 |
Research Abstract |
本研究はタキサン骨格の新規構築法を開発し、タキソールの全合成を行うとともに各種タキソール関連化合物を合成することを目的に行われた。合成計画の骨子は次の4点からなる:1)安価な糖からほぼ完成されたC環部を合成する;2)C環部とA環部を結合し鍵中間体を合成する;3)ニトリルオキシドによる分子内環化反応を用いタキサン骨格を構築する;4)タキソールの全合成を行い、関連化合物を合成する。この計画に従い検討し、以下の1〜3の成果を得た。1.タキソールC環部の合成法が開発できた:まず、D-mannitolより合成したビシクロ[222]オクタン誘導体のエステルをベンジルオキシメチル基に変換し、橋頭位メトキシメチルオキシ基をメシルオキシ基に変換した。次いで、この化合物にメタノール中過剰量のNaBH_4を加えた後、DMSOとt-BuOKを加えるとケトンの還元-フラグメンテーション反応-アルデヒドの還元が連続的に起こり5置換シクロヘキサン誘導体が得られた。この化合物は数工程を経てC環部に誘導できた。2.Cl、C2位に水酸基を持ちA環とC環を有する化合物の合成に成功した:C環部と4,6,6-trimethyl-1,4-cyclohexadizenyllithiumとの反応でA、C環部が結合でき、エポキシ化に続くLiAlH_4還元でC1及びC2位へ水酸基を立体選択的に導入できた。3.タキサン骨格の合成に成功した:分子内にニトロ基とオレフィンを有する鍵中間体を合成し、これにNEt_3存在下p-chlorophenyl isocyanateを反応させると環化反応が進行し適切な官能基を備えたタキサン骨格が構築できた。 現在のところ収率面で問題を残す工程がありタキソールの全合成には至っていないが、この点については引き続き検討していく予定である。なお、設備備品として購入した投げ込み型冷却器は低温で行う反応に使用した。
|