1997 Fiscal Year Annual Research Report
NMR情報に基づく免疫グロブリンFcレセプターの分子認識とシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
09672186
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 晃一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (20211849)
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Keywords | 免疫グロブリン / Fcレセプター / 分子認識 / NMR / 高次構造 / 糖鎖 / ヒンジ領域 / 安定同位体 |
Research Abstract |
可溶型マウスFcγレセプターII(sFcγRII)とマウスIgG2bのFcフラグメントの相互作用系に関して以下の知見を得た。 1.ゲルろ過および超遠心分析の結果、FcとsFcγRIIは1分子対1分子の複合体を形成していることを明らかにした。 2.表面プラズモン共鳴法を利用した解析を行った結果、FcとsFcγRIIとの相互作用にはFcのN-結合型糖鎖の存在が不可欠であることが明らかとなった。また、両者の親和性には静電相互作用が寄与していることを明らかにした。 3.アミノ酸タイプ別に主鎖カルボニル炭素を^<13>C標識したFcフラグメントを用いて^<13>CNMR解析を行った結果、Fc上のsFcγRII結合部位はヒンジ領域の下流とその空間的近傍から構成されていることが明らかとなった。また、N-結合型糖鎖を除去することによってsFcγRII結合部位の高次構造に変化が引き起こされることが示された。更に、ホモダイマー構造を有するFc上の2つの等価なsFcγRII結合部位のうちの一方にsFcγRIIが結合すると、他方にも高次構造変化が誘起されることが判明した。こうした高次構造変化の結果、1分子のFcに2分子のsFcγRIIが同時に結合することは不可能となり、単分子のIgGが抗原非存在下で自発的にsFcγRIIを架橋して細胞応答を引き起こしてしまうことが抑制されていると結論した。 4.sFcγRII分子上の糖鎖結合部位を同定するとともに主要なN-結合型糖鎖構造を決定した。更に、グリコシダーゼ処理による糖鎖のトリミング条件を検討した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] H.Kobayashi etal.: "Specificities and rates of binding of anti-(6-4) photoproduct antibody fragments to synthetic thymine photoproducts" J.Biochem.123. 182-188 (1998)
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[Publications] H.Gouda etal.: "NMR study of the interaction between the B domain of Staphylococcal protein A and the Fc portion of immunoglobulin G" Biochemistry. 37. 129-136 (1998)
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[Publications] S.Akashi etal.: "Structural characterization of mouse monoclonal antibody 13-1 against a porphyrin derivative : Identification of a disulfide bond in CDR-H3 of Mab13-1" Biochem.Biophys.Res.Commun.240. 566-572 (1997)
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[Publications] J.Enokizono etal.: "NMR analysis of the interaction between protein L and Ig light chains" J.Mol.Biol.270. 8-13 (1997)
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[Publications] T.-A.Hsu etal.: "Differential N-glycan patterns of secreted and intracellular IgG produced in Trichoplusia ni cells" J.Biol.Chem.272. 9062-9070 (1997)