1997 Fiscal Year Annual Research Report
医薬品のテーラーメイド人工レセプターの創製とそれを用いた医薬品分析法の開発
Project/Area Number |
09672196
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
竹内 俊文 広島市立大学, 情報科学部, 教授 (70179612)
|
Keywords | 人工レセプター / モレキュラーインプリンティング / 多点水素結合 |
Research Abstract |
本研究の目的は、新しい自己集合・組織化の系を開発することによって鋳型重合法の一つであるモレキュラーインプリンティング法(MI法)の適用範囲を広げ、医薬品の人工レセプターを創製することである。まず、MI法の選択制や親和性を高めるため、多点水素結合が可能な複数の官能基をもつ機能性モノマー2,6-bis-(acrylamido)pyridineを合成した。次にこれを用いてMI法を行い、制ガン剤として知られる5-fluorouracil(5-FU)の人工レセプターを調製した。この人工レセプターをP(5-FU)、また5-FUを加えずに調製したものをP(Blank)として高速液体クロマトグラフィー分析によって5-FUの保持を調べたところ、同様の構造を持つ1-ethoxymethyl-5-fluorouracil(EM-FU)に比べ容量比が約14倍高かった。一方、P(Blank)を用いた場合はどちらのサンプルもほとんど保持されなかったことから人工レセプターP(5-FU)は鋳型分子の5-FUを高い選択性で認識することがわかった。また、機能性モノマーとしてメタクリル酸(分子内に一つしか水素結合できる官能基を持たない)を用いて調製した人工レセプターで5-FUの保持を調べた結果、P(5-FU)の場合よりも容量比が低い、つまり親和性が低いことがわかった。以上の結果から、機能性モノマーとして2,6-bis-(acrylamido)pyridineを用いることにより5-FUに対してより相補的な結合部位の構築が可能となること、つまり多点水素結合が有効であることがわかり、多点水素結合のMI法への導入により多様な医薬品の人工レセプターを簡便に調製できることがが示唆された。
|