1997 Fiscal Year Annual Research Report
高選択的塩基認識能をもつ複核白金錯体による核酸の微小構造の制御とがん細胞増殖抑制
Project/Area Number |
09672202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
千熊 正彦 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (50025699)
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Keywords | シスプラチン / 白金錯体 / 抗がん白金錯体 / 複核錯体 / 制がん剤 / 核酸 / 塩基認識能 / 生物無機化学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、制がん活性を有する新規複核白金錯体とグアニンを含む核酸との結合様式を物理化学的手法により詳細に検討し、作用発現機構との関連を考察することにある. 本年度得られた結果は次の通りである. 1.シスプラチンを原料として、ピラゾールと水酸イオンを架橋剤とする新規白金二核錯体(錯体1)を調製した.錯体1のキャラクタリゼーションは、^<195>Pt-NMR,IR,元素分析,質量分析などにより行った. 2.錯体1がグアニン-シトシン(GC)塩基配列選択性を有することを確認する目的で、GC含量の異なる二種のDNAを用いて錯体1とDNAとの反応動力学を検討した結果、錯体1はシスプラチンと同様に高いGC塩基対選択性を有することを認めた. 3.DNAの融解曲線を測定し、白金錯体存在下および非存在下での融解温度の差(ΔTm)を求めた結果、シスプラチンでは、白金結合数が小さい場合はΔTm値が負となりDNAが不安定化されるが、白金結合数が大きくなるとΔTm値が正の値となり安定化される.一方、錯体1では、白金結合数の多少にかかわらずΔTm値が20℃と大きかった.以上の結果から、シスプラチンは白金結合数が小さい場合には鎖内結合しDNAを不安定化させるが、白金結合数が大きくなると鎖間結合し、DNAを安定化させると考えられた.錯体1は白金結合数の小さい場合においてもDNAの鎖間において結合するため、シスプラチンとは異なった結合様式をとると推論した.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 千熊 正彦: "Interaction of bisplatinum complex containing μ-hyroxo-μ-pyrazolato structure with GC-rich DNA" J.Inorg.Biochem.67・4. 348-348 (1997)
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[Publications] 千熊 正彦: "化学平衡と分析化学" 廣川書店, 221 (1997)
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[Publications] 千熊 正彦: "分析化学1 改訂第4版" 南江堂, 314 (1997)