1997 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質による遺伝子損傷の緑茶による予防:トランスジェニックマウスを用いたin vivo研究
Project/Area Number |
09672206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
横井 毅 金沢大学, 薬学部, 教授 (70135226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌滝 哲也 北海道大学, 薬学部, 教授 (00009177)
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Keywords | ポリフェノール / 突然変異検出 / エピガロカテキンガレート / 遺伝子損傷 / 化学発癌 / ベンツ[a]ピレン / HITECマウス |
Research Abstract |
緑茶に含まれるポリフェノール類がその抗酸化作用などによって発がんを抑制していると言われてきた。一方、化学物質による遺伝子損傷を検出するin vivo試験に供するため、突然変異検出用シャトルベクターを導入したHITECマウスは突然変異を、抗生物質の耐性の違いで容易に検出できる大腸菌由来シャトルベクターrpsLをゲノム中に持つトランスジェニックマウスである。この導入遺伝子をマウス標的臓器から回収し、大腸菌に戻しrpsLの発現を抗生物質耐性を指標にして検出する系で判定ができる。本研究では、ポリフェノール類による遺伝子損傷予防の測定方法を確立し、併せてその予防メカニズムを解明することを目的とする。 本年はHITECマウスを用いた変異頻度の再現性のある確実な測定法の開発に多くの時間を費やした。さらに、緑茶ポリフェノールの主成分であるエピガロカテキンガレート(EGCG)の純品の0.05%溶液を1週間、HITECマウスに飲用させ、一週間後にベンツ[a]ピレン(500mg/5ml/kgb.w.t.)を腹腔内投与し、投与2週間後に屠殺して検討した。その結果、ベンツ[a]ピレン投与群で、肺で対照群の約4倍、胃で約4倍、脾臓で約5倍に変異頻度が上昇した。これに対し、肺においてベンツ[a]ピレンによる遺伝子損傷が、EGCGにより抑制されることを見い出した。この抑制効果は、胃や脾臓では認められなかった。EGCG単独投与群では変異頻度は上昇しなかったことより、高濃度のEGCGでも遺伝子損傷を引き起こさないことも明らかにした。現在、肺における遺伝子損傷部位とその変異の種類を解析中である。0.005%EGCG投与においても、ベンツ[a]ピレンによる遺伝子損傷の抑制効果が認められるか検討する。0.005%のEGCG投与は、ヒトに外挿すると、一日約10杯の緑茶飲用に相当するために、この投与量で抑制効果が認められれば、このHITECマウスによる検出系の重要度が格段に上昇するものと考える。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yong Li: "In vivo acivation of Aflatoxin B1 in C57BL/6N mice carrying a human fetus-speticic CYP3A7 gene" Cancer Research. 57. 641-645 (1997)
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[Publications] T.Iwatsubo: "Prediction of in vivo hepatic metabolic clearance of YM796 from in vitro data using human liver microsomes and a recombinant system of human P450 isozymes." J.Pharamcol. Exp. Ther.282. 909-919 (1997)
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[Publications] E.Kashiyama: "Chtochrome P450 responsible for the stereoselective S-oxidations of flosequinan in hepatic microsemes" Drug Metab. Dispos.25. 716-724 (1997)
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[Publications] K.Nakamura: "Mequitazine oxidation is catalysed by CYP2D6 in human liver microsomes" J.Pharmacol. Exp. Ther.(in press).
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[Publications] K.Nunoya: "A new deleted allele in human cytochrome P450 2A6 gene (CYP2A6) causing poor capacity to metabolize (+)-cis-3,5-dimethyl-2-(3-pyridyl)thiazolidin-4-one hydrochroride (SM-12502) in human liver microsomes" Pharmacogenetics. (in press).
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[Publications] 横井毅: "抗癌剤の相互作用" 医薬ジャーナル社, 223 (1998)