1997 Fiscal Year Annual Research Report
薬物性肝障害の発現に関与する炎症・免疫性因子の分子機構
Project/Area Number |
09672209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
北條 博史 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (90004621)
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Keywords | 肝障害 / 四塩化炭素 / サイトカイン / エンドトキシン |
Research Abstract |
薬物性肝障害の発症には、薬物の直接作用に加えて、炎症・免疫性因子の関与が示唆されていることから、四塩化炭素(CCl_4)肝障害をモデルに、薬物性肝障害におけるサイトカインの役割を検討した。 1. CCl_4 0.1ml/kg経口的にマウスに与えると、血漿肝障害マーカーであるSDH、ALT活性はCCl_4投与4時間から上昇し、18時間で高レベルに達し、24時間まで増加した。腫瘍壊死因子(TNFα)は投与後18時間でわずかに検出された(ELISA)が、細胞障害活性試験では、TNFα換算でTNFαの30倍量以上の非特異的な細胞障害性因子の存在が認められた。インターロイキン(IL)-6はCCl_4投与後8時間から上昇し始め18時間後にピークを示した。TNFαの発現レベルは低く、また遅延して発現すること、肝障害は抗TNFα抗体によって抑制されなかったことなどから、本肝障害の発症においてTNFαが関与する可能性は少ないと判断された。 2. Kupffer細胞は肝臓における主なサイトカインの産生細胞であるため、Kupffer細胞機能修飾剤を前投与してCCl_4肝障害の発症への影響を調べた。Kupffer細胞機能の抑制剤のガドリニウム及び硫酸デキストランはCCl_4肝障害に影響を与えないが、刺激剤のエンドトキシン(LPS)はCCl_4投与の16-18時間前、0.3mg/kg体重以上で肝障害を抑制した。この抑制作用は抗TNFα抗体投与により減弱し、また組替え型マウスTNFα投与により弱いながら再現したため、LPSの作用はTNFα介在性と推測された。 以上の結果は、サイトカインは急性CCl_4肝障害発症に促進的に働く可能性は低く、逆にCCl_4肝障害発症を抑制することを示している。
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