1997 Fiscal Year Annual Research Report
酸分泌細胞内細胞骨格系におけるエズリンの役割の解明
Project/Area Number |
09672216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
漆谷 徹郎 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (40262159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 拓 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (30217971)
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Keywords | 壁細胞 / 胃酸分泌 / エズリン / アクチン / フォドリン |
Research Abstract |
本研究の目的は,壁細胞をモデル系として分泌活性化に伴う細胞骨格系蛋白の生理的役割を明らかにすることである.平成9年度の計画は(1)エズリンDNAをクローニングし,各機能ドメインを含む部分を融合蛋白として発現させ細胞骨格系蛋白との結合性を検討すること,(2)エズリンのリン酸化部位を決定すること,(3)壁細胞内に蛋白を導入する系を創出し,小胞や細胞骨格の動きをリアルタイムで観察するための手がかりを得る,この3点であった.(1)に関して,HeLa細胞よりRT-PCRによってエズリンの全長をクローニングした.このC末部分をGST-融合蛋白として発現させると,アクチンと結合したことから,C末部分にアクチン結合部位が存在することが確認された.また,プロリンリッチドメインを含むC末部分を発現させたが,フォドリンとは結合しなかった.そこでこのドメインはSH3ドメインとは結合しないか,他の因子が必要である可能性が示唆された.(2)エズリンはin vivoでそのSer残基がリン酸化されることが分かっているが,リン酸化部位の特定のためにはin vitroでのリン酸化部位を決定する必要がある.精製したエズリンをin vitroでPKAによりリン酸化したところ,Ser残基のみがリン酸化されていた.エズリン中のPKAリン酸化のコンセンサス配列に対応するSerは非常に限られることが分かったので,現在これらをAlaに変えた変異体を作成中である.(3)当初はαトキシンを用いる系を検討していたが,得られる孔径は蛋白を透過するには小さすぎ,またロット間で大きく作用にばらつきが生じた.そこでβ escinによる方法を検討した.この毒素を用いると,壁細胞に蛋白を透過する孔をあけることが可能で,且つ,透過性付与後にもアゴニスト刺激に対する応答性を保持していることが見いだされ,非常に有用なモデルであることが確認された.現在,このモデルを用いて,ラベルを入れた細胞骨格系蛋白の細胞内導入の条件を検討中である.
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[Publications] Y.Muto, T.Nagao, & T.Urushidani: "The Putative Phospholipase C Inhibitor U73122 and its negative control,U73343,Elicit Unexpected Effects on the Rabbit Parielal Cell" J.Pharmacol.Exp.Ther.282 (3). 1379-1388 (1997)
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[Publications] 漆谷 徹郎・長尾 拓: "壁細胞におけるシグナル伝達とプロトンポンプの細胞内輸送" 日本薬理学会雑誌. 110 (2). 303-313 (1997)
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[Publications] 漆谷徹郎・武藤祐子・長尾拓: "ウサギ壁細胞酸分泌活性化における細胞骨格系の役割(消化管ホルモンXV)" 消化管ホルモン研究会編、医学図書出版, 152 (1997)