1999 Fiscal Year Annual Research Report
生薬配糖体の特性を手本にした大腸送達性プロドラッグの創製-その試み-
Project/Area Number |
09672219
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
赤尾 光昭 富山医科薬科大学, 薬学部, 講師 (20069058)
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Keywords | 配糖体 / 大腸送達性 / サリチル酸 / 腸内細菌 / プロドラッグ |
Research Abstract |
我々は,生薬配糖体が経口投与された時,それら自身はほとんど吸収されず,腸内細菌により代謝活性化される天然のプロドラッグであることを明らかにしてきた。そこで,速吸収性の非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)および抗癌剤に糖を付加し,難吸収性とし腸管下部にまで到達させ,そこで腸内細菌により活性化される、大腸炎および大腸癌ターゲッティングプロドラッグ創製を目的としている。 その試みとして、近年COX-2阻害、COX-2誘導抑制、IκB不活化抑制、抗酸化活性等で再評価されているサリチル酸に糖を付加し、難病指定されている潰瘍性大腸炎の治療薬としての可能性について検討を加えた。 昨年度までにおいて,通常ラット及び無菌ラットを用いた実験によりアスピリンの先導化合物である柳の配糖体成分サリシン及び合成サリチル酸-O-β-D-グルコシド、サリチル酸-O-β-D-グルクロニドが、経口投与後消化管下部、特に盲腸(大腸)、にまで到達すること、そこで腸内細菌によりサリゲニン及びサリチル酸へと代謝されること、サリシン及び合成サリチル酸-O-β-D-グルコシドは母化合物サリゲニン及びサリチル酸に比し胃障害性が著しく軽減されることを明らかにしてきた。さらに、分解型カラゲニン投与潰瘍性大腸炎モデルモルモットにおいて、合成サリチル酸-O-β-D-グルコシド投与により改善傾向が認められた。本年度では、難病である潰瘍性大腸炎に病理組織学的に類似した炎症を惹起する、デキストラン硫酸誘発潰瘍性大腸炎モデルラットを作製し、合成サリチル酸-O-β-D-グルコシドの治療効果について検討した。ヒト潰瘍性大腸炎治療薬サラゾスルファピリジン投与と同様、サリチル酸-O-β-D-グルコシド投与により体重減少、ヘマトクリット値減少、糞便潜血、盲腸粘膜層剥離等いずれの検査においても効果が認められた。サリチル酸に糖を付加することにより大腸送達性を獲得し、大腸で活性化される大腸炎ターゲッティングプロドラッグとなることが示唆された。
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