1997 Fiscal Year Annual Research Report
薬物の消化管吸収に及ぼすneurohumoral controlの影響
Project/Area Number |
09672229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
檜垣 和孝 岡山大学, 薬学部, 助教授 (60284080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河原 賢一 岡山大学, 薬学部, 助手 (30291470)
木村 聰城郎 岡山大学, 薬学部, 教授 (10025710)
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Keywords | enteric nervous system / 消化管吸収 / 単純拡散 / 交感神経系 / 吸収促進 / 吸収抑制 / 一酸化窒素 / 非アドレナリン作動性-非コリン作動性伝達物質 |
Research Abstract |
小腸には、中枢神経系とは独立したenteric nervous system (ENS)が存在し、小腸機能を支配している。従って、ENSと薬物吸収の関連性を検討することは、生理的条件の変化に伴う薬物吸収特性の変化を理解するために極めて重要と考えられる。 我々は、腸管・血管同時灌流法により、擬似的に変化させたENSの薬物吸収に対する影響を検討した。難吸収性のphenol red(PR)をモデル薬物として、adrenergic agonistであるepinephrineの及ぼす影響を検討したところ、血管側にepinephrineを灌流することによりPRの吸収速度が約1/2に抑制された。またこの際、水の吸収速度は増大しており、epinephrine灌流により交感神経系が亢進していることが確認できた。このepinephrineによるPR吸収の抑制作用は、epinephrineを除去することにより消失し、可逆的な現象であると考えられた。 次に非アドレナリン作動性-非コリン作動性伝達物質である一酸化窒素(NO)の薬物吸収に及ぼす影響を検討した。NO供与剤であるsodium nitroprusside (SNP)を低濃度で血管側に灌流したところ、epinephrine灌流時と同様の結果が得られ、本実験条件においては、低濃度のNO負荷がPRの透過性を低下させるものと考えられた。一方、高濃度のSNPを灌流した場合には、PRの吸収挙動には顕著な変化は認められず、その作用には濃度依存性が認められた。また、NOの生合成阻害剤であるNω-nitro-_L-arginine methyl esterを血管側に灌流したところ、PRの吸収速度が約2倍に促進された。これらのNOのPR吸収に対する結果は、Kubesらが提唱するNOの粘膜保護作用説に一致するものである。
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