1997 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム依存的な神経細胞死・抑制機構の解明と新たな細胞生存活性化因子の検索
Project/Area Number |
09672231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
津田 正明 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (80132736)
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Keywords | ニューロン / アポトーシス / 細胞死抑制 / カルシウム / BDNF / グルタチオン |
Research Abstract |
本年度は、マウス小脳顆粒細胞ニューロン初代培養系において、細胞内カルシウム流入で惹起されるカルシウムシグナル依存的な神経細胞死抑制機構について以下の観点から検討した。 1.細胞生存活性化因子の検索:細胞質膜の脱分極によって誘起される電位依存性カルシウムチャネル(VDCC)からのCa^<2+>流入で、一連の遺伝子群(カルシウム応答遺伝子群)の活性化が起こる。Differential display法でこれら遺伝子を検索した所、セクレトグラニン-II(Sg-II)遺伝子が単離された。現在、その神経細胞生存活性化に与える機能性について検討中である。 2.カルシウム応答遺伝子群の発現制御系の解析:脳由来神経栄養因子(BDNF)とSg-II遺伝子はカルシウムシグナルでup-regulationを、NT-3遺伝子はdown-regulationを受ける。この制御系には、細胞内Ca^<2+>の最適濃度があるらしい。また、BDNF、Sg-II遺伝子の発現制御はVDCCからのCa^<2+>流入依存的であったが、c-fosの発現誘導はNMDAレセプターからのCa^<2+>流入によっても効果的に引き起こされた。 3.細胞内酸化還元と細胞死:小脳顆粒細胞は非脱分極状態にするとアポトーシスを起こす。この際、細胞内グルタチオン濃度の減少が認められ、鉄-硫黄酵素であるアコニターゼ活性の減少およびミトコンドリア代謝活性の低下が認められた。ところが、再脱分極によるCa^<2+>流入による細胞死抑制に伴って、これら減少が抑制された。現在、細胞内酸化還元と細胞死シグナルとの関係を深るとともに、細胞死シグナルとカルシウムシグナルとの関連を検討中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ichikawa, D.: "Attenuation of cell death mediated by membrane depolarization different from that by exogenous BDNF in cultured mouse cerebellar qranule cells" Mol.Brain.Res.(印刷中). (1998)
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[Publications] Imaoka, T.: "In vivo gene transfer into the adult mammalian central nervous system by continuous injection of plasmid DNA-cationic liposome complex" Brain Res.780. 119-128 (1998)
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[Publications] Ogawa, W.: "Isolation and characterization of an Esherichia coli mutant kacking the major serine transporter and cloning of a serine transporter" J.Biochem.122. 1241-1246 (1997)
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[Publications] Inaba, K.: "Na+(Li+)/H+ antiporter in Pseudomonas Aeruginosa and effect of Li+ on cell growth" Biol.Pharm.Bull.20. 621-624 (1997)
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[Publications] 津田正明: "神経活動と遺伝子発現" 蛋白質核酸酵素. 42. 102-112 (1997)