1997 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子多型性を示すヒトのジヒドロジオール脱水素酵素の構造と臨床的意義
Project/Area Number |
09672240
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
原 明 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (00094334)
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Keywords | ジヒドロジオール脱水素酵素 / 遺伝子多型性 / 高脂血症薬 / 抗炎症薬 / ステロイド代謝 / 構造機能相関 / プロスタグランジンD_2 |
Research Abstract |
ヒト肝に存在する4種のジヒドロジオール脱水素酵素アイソザイム(DD1〜DD4)の機能分化に必須な構造を解析し、その遺伝子多型性の臨床的意義を明らかにする目的で、今年度は、以下の項目について検討した。 1.ジヒドロジオール脱水素酵素アイソザイムの構造生物学的解析 (1)新たな本酵素アイソザイム(DD3)cDNAから発現したレコンビナント酵素の性状解析により、本酵素はプロスタグランジンD_211-ケト還元酵素として機能し、非ステロイド系抗炎症薬で強く阻害されることを認めた。 (2)DD3の部位特異的変異により、本酵素と既報の3アミノ酸残基が異なる酵素(AKR1C3)は機能的にはほぼ同一であり、両者で異なるアミノ酸残基は活性発現や阻害剤感受性には関与しないことが明らかになった (3)DD1とDD4について部位特異的変異およびキメラ酵素作製により、両酵素のC-末端ループ構造の疎水性アミノ酸残基が基質および拮抗阻害剤の結合に重要であることが示唆された。 (4)DD4は他のアイソザイムと異なり、クロフィブル酸系高脂血症薬およびによって約2倍に活性化され、その速度論的活性化機構と結合に関わる塩基性2残基を明らかにした。 2.ジヒドロジオール脱水素酵素の遺伝的多型性の解析 (1)予測される11種の本酵素cDNAをRT-PCRとRFLPの組み合わせにより識別する方法を確立した。33生検試料の分析では、DD1,DD2,DD3に対応するそれぞれ一種類のmRNAの発現しか認められず、既報の類似cDNAは希な遺伝子多型であることが示唆された。DD4には、約20%の頻度でヘテロに発現する2アミノ酸置換変異遺伝子を認めた。現在、血液の染色体DNAを用いた変異遺伝子の同定法を検討している。 (2)DD4は肝臓に特異的に発現しているのに対して、他の酵素は、各酵素によりその発現量が異なるが、ほぼ全組織に分布し、各組織特有のステロイドやプロスタグランジン代謝に関与することが示唆された。
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