1997 Fiscal Year Annual Research Report
難代謝性フッ素化脂肪酸の生体作用の多様性と作用点における分子識別機構の解明
Project/Area Number |
09672247
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
川嶋 洋一 城西大学, 薬学部, 教授 (80126515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 裕晃 マルホ株式会社, 彦根研究所, 主任研究員
大谷 武司 城西大学, 薬学部, 講師 (90077975)
工藤 なをみ 城西大学, 薬学部, 助手 (10161647)
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Keywords | ペルフルオロ脂肪酸 / 肝脂肪蓄積 / 肝腫大 |
Research Abstract |
フッ素系界面活性剤として広く使用されているペルフルオロ脂肪酸(PFCA)は、難代謝性で毒性も低いものと考えられてきた。しかし、近年、炭素数10のペルフルオロデカン酸は残留性も高くさまざまな障害を引き起こす可能性があることが指摘されている。本研究ではPFCAの生体への影響を改めて評価するとともにその作用メカニズムの解明を試みた。 まず、炭素鎖長7から10までのPFCAをラット腹腔内に投与し、種々の臓器を摘出して顕微鏡下で観察した。すべての化合物で線維素性腹膜炎を起こしていた。炭素数8以上のPFCAの投与によって肝腫大と限局性の壊死が認められ、また、血清脂質は低下傾向を示した。さらに炭素数9、10の化合物によって肝細胞と近位尿細管上皮細胞に微細脂肪滴の貯留がみられ、血清ビリルビンが高値を示した。肝臓のトリグリセルドを定量したところ対照の5-10倍であった。炭素数8以上のPFCAに認められる肝腫大はペルオキシソーム増殖作用に伴うもので、構造の異なる他のペルオキシソーム増殖薬によっても起こることから毒性評価から除外した。 炭素数長9、および10のPFCAにみられる脂肪滴の貯留機構を検討した。〔3H〕glycerolを頸静脈から投与して肝臓のグリセロ脂質中への取り込みを測定することによって合成速度を調べたところ、ホスファチジルコリンの合成は炭素数10の化合物(C10)の投与によって亢進していたがトリグリセリドの合成速度には変化がなかった。また、肝細胞におけるβ-酸化速度はC10投与によってむしろ数倍増加した。一方、血清中の脂質は低下していた。これらの結果から炭素数9、10のPFCAによる肝臓の脂肪蓄積は肝臓からのトリグリセリドの分泌が低下しているためであることが示唆された。
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