1998 Fiscal Year Annual Research Report
難代謝性フッ素化脂肪酸の生体作用の多様性と作用点における分子識別機構の解明
Project/Area Number |
09672247
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
川嶋 洋一 城西大学, 薬学部, 教授 (80126515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 裕晃 マルホ株式会社, 彦根研究所, 主任研究員
大谷 武司 城西大学, 薬学部, 講師 (90077975)
工藤 なをみ 城西大学, 薬学部, 助手 (10161647)
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Keywords | ペルフルオロ脂肪酸 / 脂肪肝 / VLDL分泌 / 脂質代謝 |
Research Abstract |
前年度の研究でフッ素系界面活性剤であるペルフルオロ脂肪酸(PFCA)はのうちペルフルオロノナン酸やペルフルオロデカン酸には肝臓や腎臓に脂肪を蓄積させる作用があることが明かとなった。また、この脂肪蓄積作用は炭素鎖長の長いPFCAほど強かった。本年度はこれらの結果をふまえて、なぜ、PFCAの脂肪蓄積作用が炭素鎖長によって異なるのかを調べるとともに、脂肪蓄積のさらに詳しいメカニズムと脂質代謝全般に対する影響をあわせて検討した。 まず、PFCAの微量定量法を開発し、肝臓のPFCA残存量を比較した。その結果1.炭素鎖長の長いPFCAほど肝臓に高濃度蓄積すること、2.PFCAの種類によらず、肝臓のPFCA濃度と肝臓のトリグリセリド(TG)蓄積量には高い相関が認められることが明かとなった。したがって、肝臓への残存性が炭素鎖長の異なるPFCA間で異なるために作用の強さに違いが生じるものと考えられた。前年度の研究ではPFCAは肝臓の脂肪酸消費をむしろ亢進させること、TGの合成速度には影響しないことを示したが、本年度はPFCAを投与したラットにおいてVLDLの分泌速度が著しく低下していることを見いだした。血清脂質の低下を考え合わせると、VLDL分泌抑制がPFCAよる肝TG蓄積の主要因であることが示唆された。一方、PFCAの脂質代謝酵素に対する影響を広範に検討したところ、PFCAが脂肪酸代謝酵素、およびリン脂質合成酵素の活性を広く変動させること、また、PFCAの炭素鎖長によってその強さが異なる事が明かとなった。TG蓄積作用、脂肪酸不飽和化酵素活性、および1-アシルグリセロホスホコリンアシルトランスフェラーゼ活性はPFCAによりいずれも上昇するものの、これらの3者間に相関はないことから、それぞれ異なる機構によって引き起こされていることが推察された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Noami Kudo: "Quantitation of pertluorocarboxylic acids by gas-liquid chronviography in rat tissues." Toxicology Letters. 99. 183-190 (1998)
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[Publications] Takeshi Ohya: "Determination of perfluorinated carboxylic acids by high-performance chromatography in biological samples." Journal of Chromatography B. 720. 1-7 (1998)
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[Publications] Noami Kudo: "Alterations by perfluorooctanoic acid of glycerolipid metabolism in rat liver." Chemico-Riological Interactions. in press.