1999 Fiscal Year Annual Research Report
難代謝性フッ素化脂肪酸の生体作用の多様生と作用点における分子識別機構の解明
Project/Area Number |
09672247
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
川嶋 洋一 城西大学, 薬学部, 教授 (80126515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 裕晃 マルホ株式会社, 中央研究所, 主任研究員
大谷 武司 城西大学, 薬学部, 講師 (90077975)
工藤 なをみ 城西大学, 薬学部, 助手 (10161647)
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Keywords | パルフルオロ脂肪酸 / 肝TG蓄積 / ペルオキシソームβ酸化 / 尿排泄 / 肝残存性 / テストステロン |
Research Abstract |
PFCAの生体作用の一つである肝ペルレオキシソーム増殖作用はラットにおいて性差があることが知られている。本年度は炭素鎖長の異なるPFCAのペルオキシソームβ酸化酵素誘導作用を雌雄ラットで比較した。雌雄ラットともに炭素鎖長の長いPFCAほど強い誘導能を示し、また、炭素数8および9のPFCA(C8,C9)は雌ラットより雄ラットに強い作用を示した。肝臓におけるPFCAの残存量とペルオキシソーム酵素活性には高い正の相関が認められた。PFCAの濃度が0.5μmol/g liverを超えると同活性は飽和を示し、それ以上高濃度になっても活性のさらなる上昇は認められなかった。このため、肝臓の残存量が前述の値を超えた場合には残存量に性差があっても酵素活性には差がないものと考えられた。マウスについても同様の実験を試みたところ、マウスはラットよりも一般的にPFCAの残存量が高く、そのためラットではほとんど検出されないC6やC7も肝臓から検出されるとともに、これらのPFCAによるペルオキシソームβ酸化酵素誘導が観察された。また、マウスでも雄は雌よりもPFCAの肝残存性が高かった。PFCAは体内でまったく代謝を受けないので、PFCAの排泄経路を検討した。その結果、ラットでは炭素鎖長の短いPFCAはきわめて速く尿中から排泄されるのに対しC10はほとんど尿中へは排泄されないこと、糞中への排泄はいずれのPFCAも少なく、また、PFCA間で排泄量に差は認められなかった。以上の結果から、炭素鎖長の長いPFCAほど尿中に排泄されにくいために肝残存性か高いことが明らかとなった。また、雄ラットを去勢するとPFCAの尿中への排泄が速くなり雌ラットと差がなくなること、去勢したラットにテストステロンを投与するともとに戻ることから、PFCAの尿中排泄は男性ホルモンによって調節されると考えられた。
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Research Products
(1 results)