1997 Fiscal Year Annual Research Report
抗躁病薬炭酸リチウムの海馬コリンとセロトニン作動性神経活性に及ぼす作用の検討
Project/Area Number |
09672248
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoritsu University of Pharmacy |
Principal Investigator |
川島 紘一郎 共立薬科大学, 薬学部, 教授 (70095008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 和子 共立薬科大学, 薬学部, 助手 (50229043)
藤井 健志 共立薬科大学, 薬学部, 講師 (80255380)
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Keywords | acetylcholine / lithium / cholinergic nerve system / hippocampus / serotonergic nerce system / microdialysis / rat / 8-OH-DPAT |
Research Abstract |
本研究では,抗躁病薬炭酸リチウム(Li_2CO_3)を慢性投与したラットにおいて,セロトニン(5-HT)1A受容体作用薬8-OH-DPAT(30μM)を海馬へ局所投与し,海馬におけるacetylcholine(ACh)遊離の変化を脳内微小透析法とラジオイムノアッセイ法を用いて検討した.雄性,8週令のWistar系ラットに0.2%Li含有飼料を3週間与え,慢性投与群とした.対照群には通常飼料を与えた. l)コリンエステレース阻害剤非存在下(生理的条件下)における検討 海馬からの基礎ACh遊離量は,対照群およビ慢性投与群とも約70fmol/30minであり,両群に差は認められなかった. 海馬へ局所投与した8-OH-DPATは,対照群のACh遊離に影響を及ぼさなかった.しかし,慢性投与群で8-OH-DPATは,ACh遊離量を有意に増大させた. 2)コリンエステレース阻害剤存在下(非生理的条件下)における検討 海馬からの基礎ACh遊離量は,対照群および慢性投与群でそれぞれ,約600および1900fmol/15minであった. 海馬へ局所投与した8-OH-DPATは,対照群および慢性投与群でACh遊離を有意に増大させた.ACh遊離増大作用は慢性投与群でより著明であった. これらの結果より,慢性リチウム投与は,1)セロトニン神経系を介するコリン作動性神経活性の促進作用を増大させる,2)コリンエステレース存在下では直接海馬におけるコリン作動性神経を活性化させることが明らかとなった.Liの抗躁病作用に,セロトニン1A受容体を介するコリン作動性神経活性の促進効果が関与している可能性が,今回初めて明らかとなった.
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