1997 Fiscal Year Annual Research Report
薬毒物による自己免疫反応の誘発過程におけるMHC-II抗原の挙動と役割
Project/Area Number |
09672254
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大沢 基保 帝京大学, 薬学部, 教授 (30129978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和子 帝京大学, 薬学部, 助手 (90163245)
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Keywords | 自己抗体 / ポリクローンBリンパ球活性化 / カドミウム / MHC-II |
Research Abstract |
カドミウム(Cd)、水銀などの重金属はポリクローンBリンパ球活性化(PBA)に伴い自己抗体の産生を誘導する。本研究では、このPBAの誘発機序を明らかにするため、T-Bリンパ球の相互作用に必須なMHC-II分子に注目し、CdによるPBA誘発におけるMHC-II分子の役割の解明を目的としている。そのため、BALB/cマウスの脾細胞を培養し、CdによるPBA誘発時のMHC-II分子であるIa抗原の量的変化と必要性について以下の検討を行った。 (1)PBA反応におけるIa抗原発現量の解析:培養脾細胞にCdを添加し、脾細胞表面のIa抗原をFITC標識抗Ia抗体で標識し、Ia抗原発現量の変化をフローサイトメトリーにより測定した。培養細胞のIa抗原発現量を経時的に測定すると、対照培養ではIa抗原の高発現細胞の比率があまり変化しないが、PBA誘発濃度である1-10μMのCdを添加した処理培養では、高発現細胞の比率が顕著に増加した。この増加は、培養2日目で観察されたが、6日目までの培養日数の経過と共に顕著となった。これにより、Cd処理により脾細胞のIa抗原発現量が顕著に増加することが明らかとなった。 (2)抗Ia抗体のPBA反応阻害効果の解析:同上培養脾細胞を抗Ia抗体で処理後10μMのCdを添加し、Ia抗原のブロッキングによるPBA反応への影響をIgM産生量を指標として測定したところ、PBA反応は有意に阻害された。CD4、CD8などのTリンパ球抗原の抗体処理ではこの阻害効果が弱いことから、CdによるPBA反応の誘発にIa抗原が重要な役割を果たしていることが示された。 上記の結果により、CdによるPBA反応の誘発にMHC-II分子であるIa抗原の発現が量的にも機能的にも重要であることが明らかとなった。Ia抗原発現の増加した細胞種について解析中であり、さらにPBA反応に関わるIa抗原の発現時期について検討する予定である。
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