1998 Fiscal Year Annual Research Report
蛇毒由来の新規な血管内皮細胞増殖因子の構造と機能に関する研究
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09672262
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小森 由美子 名城大学, 薬学部, 助手 (60162070)
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Keywords | 細胞増殖因子 / 血管内皮細胞 / 蛇毒タンパク質 |
Research Abstract |
1. HFの作用部位(レセプター)の検討 Viperaaspis毒から精製したHFのFXSによる蛍光標識を行い,ヒト臍帯静脈血管内皮細胞に作用させたところ,HFの細胞表面への結合、および細胞増殖効果が確認された.またHFは各種血管内皮細胞には作用を示したが,平滑筋細胞や上皮細胞に対する増殖促進効果は認められなかった.さらにHFの細胞増殖効果は高濃度のヘパリンにより阻害されたことから,HFは血管内皮細胞表面に特異的に発現しているレセプターと結合する可能性が示唆され,また結合にはVEGF同様ヘパラン硫酸が関与すると考えられた.細胞表面のヘパリナーゼ処理は,HFの細胞への結合性を変化させた. 2. HFとVEGFの構造と活性との関連 HFとヒトVEGFの一次構造はN末側50残基で相同性60%,C末側(71残基以降)では25%であった.両者の作用を比較すると,細胞増殖作用はVEGFがHFの5-10倍,毛細血管透過性亢進作用は同程度であったが,血圧降下作用はVEGFにはほとんど認めらなかった.またプラスミンによりHFのC末側を切断したものは全く血圧降下作用を示さなかったが,細胞増殖作用は50%程度残存しており,血圧に対する作用の違いはC末側の構造の違いに起因する可能性が考えられた.ウエスタンブロッティングの結果と同様,抗VEGFポリクローナル抗体はHFの細胞増殖作用を阻害したが,抗HFポリクローナル抗体はVEGFの細胞増殖作用に全く影響を与えなかったことも,HFとVEGFの構造上の違いが活性に反映している結果と考えられた.
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