Research Abstract |
活性型ビタミン誘導体の構造と活性との関連性を明らかにする目的で, (1)A環10(19)位のメチレン基を脱離させた誘導体,(2)側鎖22-23位への二重結合導入と24位へのメチル基付加・異性化を行った誘導体,(3)A環2β位に側鎖を付加した誘導体を合成し,その生物活性試験を行った。また,活性型ビタミンDの生理作用の一つとして(4)腎臓のリン輸送担体の遺伝子発現調節を行うことを明らかにした。以下,その内容について記載する。 (1) 活性型ビタミンD_3のA環10(19)位のメチレン基及び1位または3位のいずれかの水酸基を脱離した誘導体(19ノルデヒドロキシ誘導体)と19ノルデヒドロキシ誘導体の22位の炭素原子を酸素原子に置換した19ノルデヒドロキシ-22-オキサ誘導体の生物活性を検討した結果,ビタミンD受容体(VDR)との結合力が非常に弱い化合物であっても白血病細胞に対する増殖抑制・分化誘導活性を有し,遺伝子転写活性を発揮しうることを明らかにした(Biol.Pharm.Bull.21(12),1300-5,1998)。 (2) 活性型ビタミンD_3の側鎖22-23位二重結合と24位メチル基導入による影響を検討する目的で,l,25-ジヒドロキシビタミン-D_2,-D_3,-D_4,-D_7および24-エピ-1,25-ジヒドロキシビタミン-D_2の生物活性を比較検討した。その結果,24位のメチル基はS配位で導入された場合,l,25-ジヒドロキシビタミンD3と同等のVDR結合性と生物活性を維持するが,R配位で導入された場合はVDR結合性と遺伝子転写活性が低下することを明らかにした(Biol.Pharm,Bull.in press)。 in press (3) 活性型ビタミンD_3の2β位にハイドロキシプロポキシ基を導入したED-71およびED-71の側鎖26,27位にメチルあるいはエチル基を導入したD誘導体のうち,ED-71と26,27-ジメチルED-71に骨粗鬆症モデルラットに対する骨量減少予防効果があることを明らかにした(B100rg.Med.Chcm.6(12),2517-2523,1998)。 (4) ビタミンD欠乏ラットを用いて,活性型ビタミンDが腎臓のリン輸送担体遺伝子上流の特異的DNA配列を認識し,その発現調節を行うことを明らかにした(J.Biol.Chem.,273(23),14575-14581,1998)。
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