Research Abstract |
活性型ビタミン誘導体の構造と活性との関連性を明らかにする目的で,種々のD誘導体の合成を行い生物活性試験を行った。 以下,その内容について記載する。 (1)活性型ビタミンD_3のA環10(19)位のメチレン基を脱離した誘導体(19-nor誘導体)及びA環1位と3位の水酸基の立体配置を変化させた誘導体の生物活性を検討した結果、A環3位水酸基がβ位ある誘導体は白血病細胞HL-60に 対する増殖抑制・分化誘導活性を有し,一方,1β位あるいは3α位に水酸基を有する誘導体はアポトーシス誘導活性が高いことを明らかにした。(Chem.Biol.,7(3),173-84,2000)。 (2)A環2β位に種々の置換基(側鎖)を導入した誘導体の生物活性を検討した結果,側鎖末端に水酸基を有するものあるいはエーテル結合を有するような誘導体は1,25(OH)2D3と同等の転写活性を示し,DBP結合性が高いことが明らかになった。これらの結果は,この種の置換基の導入が血中安定性の向上に有用であることを示唆した。(Biol.Pharm.Bull.23(1),66-71,2000) (3)A環2αあるいは2β位にメチル基を導入し,同時に1位あるいは3位の水酸基あるいは20位の立体配置を変化させた誘導体の生物活性を検討した結果,20位の異性化、2α位へのメチル基の導入が生物活性を著しく増強することを確認した。また、これまで生物活性を減弱させると考えられてきた1β位水酸基誘導体の中に高活性を示す誘導体(2β-methyl-20-epi-lβ,25(OH)_2D_3)が存在することを見いだした。(Biochem.Pharmacol.59(6),691-702,2000) (3)活性型ビタミンD_3の側鎖22-23位二重結合と24位メチル基導入による影響を検討する目的で,1,25-ジヒドロキシビタミン-D_2,-D_3,-D_4,-D_7,および24-エピ-1,25-ジヒドロキシビタミン-D_2の生物活性を比較検討した。その結果,24位のメチル基はS配位で導入された場合,1,25-ジヒドロキシビタミンD_3と同等のVDR結合性と生物活性を維持するが,R配位で導入された場合はVDR結合性と遺伝子転写活性が低下することを明らかにした(Biol.Pharm.Bull.22(4),371-7,1999) (4)活性型ビタミンDのNongenomic作用について検討した結果,活性型ビタミンDやその誘導体OCTは一過性の細胞内Ca濃度上昇作用を示すが,1β位に水酸基を有する誘導体がこの作用をAntagonistとして阻害する役割を持つことを明らかにした。(Biol.Pharm.Bull.22(10),1058-63,1999)
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