1998 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子治療への応用と抗ウイルス剤作用増強を目的としたウイルス酵素活性化因子の検索
Project/Area Number |
09672276
|
Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
林 京子 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (60110623)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 利光 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (40092796)
|
Keywords | 遺伝子治療 / 抗ウイルス作用 / 単純ヘルペスウイルス / チミジンキナーゼ(TK) / TK発現癌細胞株 / アシクロビル / ガンシクロビル / 相乗効果 |
Research Abstract |
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)に対する増殖抑制作用と、抗ヘルペス剤アシクロビル(ACV)及びガンシクロビル(GCV)の作用増強効果とを指標にして、200種類以上の天然物質や合成物質、及び、約1500種の微生物(放線菌、真菌)抽出エキスを評価した。その結果、5,6,7-trimethoxyflavone(TMF)と2種類のジテルペノイド、scopadulciol(SDC)及びponicidin(PND)が、抗ウイルス活性とACV/GCV増強効果とを有することが明らかになった(Antiviral Chem.Chemother.,1996;J.Antimicrob.Chemother.,1997)。作用メカニズムを検討したところ、SDCとPNDは、HSV-1由来チミジンキナーゼ(HSV-TK)の活性を選択的に刺激することがわかった。また、薬物動態学的研究によって、GCVの活性型代謝産物(GCV-TP)の脱リン酸化による細胞外放出が、これらの物質によって有意に抑制されるというデータも得られた。これらの作用は、HSV感染細胞内でのACV-TP/GCV-TP量を高値に維持するという結果をもたらし、SDCやPNDによるACV/GCVの毒性効果増強の根拠と考えられる。一方、癌遺伝子治療に実際に利用されているHSV-TK/GCV投与系はその効果をTK活性に依存していることから、SDCやPNDをこの系に併用することによってその治療効果が高まる可能性がある。そこで、この点を検討する目的で、HSV-TK遺伝子を発現ベクターにクローニングし、このベクターを種々のヒト癌細胞にtransfectionして、HSV-TK発現細胞を選択培地で得た。もとの非TK発現細胞に比べて、TK発現細胞は、ACVやGCVに対する感受性が高くなっていることを確認した。このTK発現細胞にSDCやPNDをきわめて低濃度で併用すると、細胞毒性が有意に増強された。従って、これらのジテルペノイドは、in vitroでの癌細胞の選択的排除に大きく貢献することが明らかになった(Cancer Gene Therapy,in press)。
|
-
[Publications] K.Hayashi,T.Hayashi,H.Otsuka,Y.Takeda: "Antiviral activity of 5,6,7-trimethoxyflavone and its potentiation of antiherpes activity of acyclovir" Journal of Antimicrobial Chemotherapy. 39・6. 821-824 (1997)
-
[Publications] K.Hayashi,T.Hayashi,Sun,H.-D.,Y.Takeda: "Potentiation of ganciclovir toxicity in herpes simplex virus thymidine kinase / ganciclovir administration system by ponicidin" Cancer Gene Therapy. in press. (1999)
-
[Publications] Hayashi,T.,Hayashi,K.,Asano,S. et al.: "Towards Natural Medicine Research in the 21st Century" Elsevier Science Publisher, (1998)