1997 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシスを作用機序とする抗がん性物質の分子設計と合成
Project/Area Number |
09672280
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大塚 雅巳 熊本大学, 薬学部, 教授 (40126008)
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Keywords | アポトーシス / アポトーシス耐性細胞 / 活性酸素 / 抗がん剤 |
Research Abstract |
アポトーシスは細胞自身にプログラムされた自殺機構で、TNFやFasリガンドが細胞表面の受容体に結合すると細胞内シグナル伝達経路が作動し、アポトーシスが誘導される。本研究ではアポトーシスに至るシグナル伝達を担う活性酸素を標的とし、これらの機能を制御するような人工化合物の分子設計と合成を行なった。 研究代表者らがさきに開発したピリジン骨格をもつ化合物HPHのイミダゾール骨格やピリジン骨格に官能基を導入し、高い酸素活性化能力を示すよう構造に改良を加えた。合成化合物はマウス白血病細胞L1210、ヒト白血病細胞HL60などの基本的がん細胞にアポトーシス誘導を示した。その際、脂質の過酸化や抗酸化剤の作用などを検討し、アポトーシスに活性酸素が有意に作用していることを示唆する結果を得た。しかしアポトーシスに至る細胞内シグナル伝達に関与する場合があるとされている転写因子NFkBの誘導に対して影響はなかったことから、合成化合物はNFkBより下流に作用していると示唆された。 アドリアマイシンなどの現用抗がん剤に対してアポトーシス耐性なヒト膵がんAsPC-1細胞への上記合成化合物の作用を検討したところ、時間・濃度依存的な細胞死が誘導された。この細胞死は、形態変化・核の断片化などの特徴からアポトーシスと確認された。人工化合物がアポトーシス耐性膵がんAsPC-1細胞にアポトーシスを誘導する機構について種々検討した結果、抗酸化剤アスコルビン酸によりアポトーシス誘導が阻害されたことから、このアポトーシス誘導または実行の過程において活性酸素種が関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 大塚雅巳: "Cloning and Characterization of a cDNA Encoding the Human Homolog of Tumor Necrosis Factor Receptor-Associated Factor 5(TRAF5)" Gene. (印刷中). (1998)
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[Publications] 大塚雅巳: "ブレオマイシンをモデルにしたアポトーシス誘導剤の分子設計" 癌と化学療法. 24・4. 412-417 (1997)