1997 Fiscal Year Annual Research Report
非天然型アミノ酸及びそれらを含むペプチド類の高効率的合成法の開発とその応用
Project/Area Number |
09672282
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮下 和之 大阪大学, 薬学部, 助手 (10166168)
|
Keywords | 非天然型アミノ酸 / 非天然型ペプチド / ピリドキサール / 立体選択的合成 / 位置選択的合成 |
Research Abstract |
ピリドキサールモデル化合物を用いる非天然型アミノ酸及びそれらを含むペプチド類の高効率的合成法の確立を目的として研究を行い、本年度は1)アミノ酸レベルでの新しい非天然型アミノ酸合成反応としてセリン誘導体を出発原料とするβ-置換反応について、2)ペプチドレベルでの反応としてペプチドの直接的なN末端選択的、かつ立体選択的なα位アルキル化反応の2点について重点的に検討を加え以下のような結果を得た。 1)セリン誘導体の硫黄及び炭素求核体を用いる触媒的β-置換反応 ピリドキサールモデル化合物として、3位にリチウム配位能を有するエトキシエトキシ基以外に5位にイミダゾール側鎖を導入した化合物を触媒量用いることにより、各種チオール類とのβ-置換反応が高収率で進行するという、新しいシステイン誘導体の効率的合成法を見出した。 さらに2位に亜鉛と配位可能なメチルチオメチル基を導入した複合配位能力を有するモデル化合物を触媒量用い、リチウムイオン及び亜鉛イオン存在下で反応を行うことにより、ニトロ酢酸エステルのような炭素求核体とのβ-置換反応が進行し、触媒的炭素-炭素結合形成反応となることを見出した。 2)ペプチド類のN末端選択的かつ立体選択的α位アルキル化反応 不斉補助基としてアンサ型構造を合わせ持つピリドキサールモデル化合物を用い、ペプチドN末端アミノ基とイミン形成後、アルキル化反応を行うことにより、N末端選択的かつ立体選択的に反応が進行することを見出した。これにより個々の非天然型アミノ酸を合成することなく、直接ペプチドを位置選択的に修飾することにより非天然型アミノ酸を含むペプチドが立体選択的に得られる経路を確立した。またこの時リチウムイオンの有無により立体選択性が逆転し、同一の不斉源から2種の異性体をそれぞれ作り分けられることも明らかとなった。
|