1997 Fiscal Year Annual Research Report
新規代謝調節型グルタミン酸受容体アゴニストによる神経細胞保護作用の研究
Project/Area Number |
09672295
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
篠崎 温彦 (財)東京都臨床医学総合研究所, 薬理研究部門, 研究員 (20109945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇山 佳明 (財)東京都臨床医学総合研究所, 薬理研究部門, 研究員 (20281686)
石田 美知子 (財)東京都臨床医学総合研究所, 薬理研究部門, 研究員 (90124437)
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Keywords | グルタミン酸 / グルタミン酸受容体 / 神経細胞死 / 脊髄運動ニューロン / 出血 / MK-801 / NOS inhibitor / L-NAME |
Research Abstract |
グルタミン酸をラットに出生直後から連日大量投与すると、投与開始後数日して脊髄下部および前根のアトロフィー・尾の痛覚麻痺・脊髄運動ニューロンの喪失・筋の萎縮・関節の拘縮等を伴う神経変性疾患モデルを作製することができることを報告してきた。最近、これらの神経変性に至る過程で脊髄下部に出血が起き、この出血を阻止すると神経変性には至らないことを見いだした。出血は多くの場合、仙髄(S1)から尾髄にかけて認められ、最も出血の程度がひどい例(全例の約5%)では、腰髄(L1)から尾髄にかけて瀰漫性に広がっていた。出血の部位は脊髄下部の硬膜下、軟膜下および脊髄実質に限局しており、腹側より背側の方が激烈であった。この出血はMK-801およびL-NAMEにより抑制され、他のNMDA受容体の選択的アンタゴニストでは出血を阻止することはできなかった。これまで、中枢神経系におけるグルタミン酸による神経細胞死は、グルタミン酸が神経細胞の受容体へ直接作用して、受容体を過剰に興奮させCa^<2+>が異常に細胞内に流入した結果生じると考えられてきた。しかし、ここで得られた実験結果は、興奮性アミノ酸による神経細胞死の原因の一つに、出血による血流障害を考慮せねばならないことを示唆している。今までに得られた中枢神経系でのグルタミン酸受容体の薬理学的知識だけでは説明できないことが多い。グルタミン酸が末梢神経を刺激してオ-タコイドを放出させることにより出血を起こすことも考えられるが、末梢神経系に代謝調節型を含めてグルタミン酸受容体が存在する証拠もまだ示されていない。いずれにせよこのグルタミン酸による出血の機序を解明することは、グルタミン酸の生理学的・病理学的機能を理解する上で、また原因が未知である神経変性疾患の解明に、極めて重要と考えられる。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Miyamoto,M.: "Anticonvulsive and neuroprotective actions of a potent agonist(DCG-IV)for group II metabotropic glutamate receptors against intraventricular kainate in the rat." Neurosci.77. 131-140 (1997)
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[Publications] Uyama,Y.: "DCG-IV,a potent metabotropic glutamate receptor agonist,as an NMDA receptor agonist in the rat cortical slice." Brain Res.752. 327-330 (1997)
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[Publications] Klein,J.: "Ontogenetic and pharmacological studies on metabotropic glutamate receptors coupled to phospholipase D activation." Neuropharmacol.36. 305-311 (1997)
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[Publications] 篠崎温彦: "グルタメート" 精神神経薬理. 19. 154-166 (1997)
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[Publications] Saitoh,T.: "Potentiation by DL-α-aminopimelate of the inhibitory action of a novel mGluR agonist(L-F2CCG-I)on monosynaptic excitation in the rat spinal cord." Brit.J.Pharmacol.123. 771-779 (1998)
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[Publications] 篠崎温彦: "医系薬理学" 中外医学社, 562 (1997)
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[Publications] Shinozaki,H.: "Metabotropic Glutamate Receptors and Brain Function" Portland Press Ltd.(印刷中),
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[Publications] Shinozaki,H.: "Recent advances in pharmacological research on traditional herbal medicine" Gordon and Breach,Science Publishers,Inc.(印刷中),
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[Publications] 篠崎温彦: "薬物受容体" 南山堂(印刷中),