1997 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロサテライト多型による隣接遺伝子症候群などの染色体起源とメカニズム解析
Project/Area Number |
09672317
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
孫田 信一 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 室長 (00100165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 教夫 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 研究員 (20291172)
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Keywords | 隣接遺伝子症候群 / マイクロサテライト / 染色体異常 / モザイク / 片親性ダイソミ- |
Research Abstract |
隣接遺伝子症候群に属するPrader-Willi症候群5例とAngelman症候群の4例および各両親の末梢血からDNAを抽出し、染色体15の動原体近傍、両症候群責任遺伝子座位近傍および染色体末端までの各領域に存在するマイクロサテライトの多型を調べた。また染色体異常症例のうち、構造異常や複数の核型の細胞からなるモザイク症例をもつ家系について、染色体異常児とその両親由来の細胞DNAを用いて、組み換え点を挟む領域や異常染色体の各部位のマイクロサテライト多型を詳細に調べ、構造異常の発生メカニズムを調べた。これらの中には、起源の不明な構造異常を含むモザイク8症例[inv dup(15)を含むモザイク、i dic(Y)のモザイク、45,X/47,XX,+21など]が含まれている。さらに組み換え点が3箇所以上ある複雑な構造異常[t(1;5)(5;16)、染色体1、3、4および8が同時に関与した構造異常など]の症例とその両親のリンパ芽球細胞を用いて、構造異常染色体とそれに関わる正常染色体の組み換え点を挟む各部位について、マイクロサテライト多型を利用してその起源を調べた。これらの解析結果によると、染色体構造異常の発生メカニズムの一つとして、初期の体細胞分裂における染色分体間の乗換えによるものがある程度含まれることが判明した。また、体細胞分裂における染色分体間の乗換えによって生じたと思われる微細欠失および片親性ダイソミ-も確認された。一方、我々が保有している実験動物(チャイニーズハムスター系統)を用いて、受精後の発生初期胚に放射線を照射し、体細胞分裂時における染色分体間の乗換えを実験的に誘発し、ヒトで見られる異常の発生メカニズム研究のモデル開発を試みた。
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