1998 Fiscal Year Annual Research Report
医薬品適正使用のための薬効および副作用の比較評価法の開発
Project/Area Number |
09672318
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 安彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40158225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊賀 立二 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60012663)
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Keywords | 受容体 / 酵素 / 薬効 / 副作用 / 薬物動態学 / 薬力学 / 抗血小板率 |
Research Abstract |
生体内の受容体および酵素と相互作用することにより薬効・副作用を発現する薬物が数多く開発され臨床で用いられている。そこで、受容体あるいは酵素と薬物との結合動態に着目し、薬物動態学的情報と薬力学的情報を定量的に統合して解析する方法論を構築し、それを基にした最適な循環器系薬剤の選択と投与計画を支援する薬品情報システムの構築を目的とした。同一な作用機序の薬物間の評価に関しては、β-遮断薬を対象にその成果を既に報告している。本研究では、異なる作用機序の薬物間の評価法の確立を目指して、可逆的な抗血小板作用を有するシロスタゾール、サルポグレラートと非可逆的な抗血小板作用を有するアスピリン、チクロピジンを対象に検討を行なった。その結果、シロスタゾールとサルポグレラートの抗血小板作用は、ホスホジエステラーゼIIIおよびセロトニン受容体との結合解離を考慮した速度論モデルにより解析でき、連続投与ならびに投与量の増量において効果の蓄積は無く、薬効消失までに24-36時間を要することを理論的に明らかにした。アスピリンおよびチクロピジンに関しては、各々シクロオキシゲナーゼと未成熟血小板への非可逆的阻害モデルで解析可能でき、アスピリン80〜320mg投与時には、用量依存で最大効果発現時間の短縮が見られるが最大効果および投与中止後の回復期間は大きく変化しないこと、チクロピジン200〜600mg投与時には、用量依存で最大効果の増大が見られるが、最大効果発現時間の短縮は見られず、投与中止後の回復期間の延長が起こることが示唆された。以上の結果から、適切な用法・用量、および出血の危険性回避のための休薬期間などに関して、投与計画を理論的に設定できる支援システムを構築することができた。
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