1997 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍性大腸炎治療を目的としたプロピオン酸ベクロメタゾン製剤開発並びに臨床適用
Project/Area Number |
09672319
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青山 隆夫 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60262028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 忠彦 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (30238894)
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Keywords | Bechromethazone dipropionate / enema / ulcerative colitis palieats / suppository / rat / Certico Steroid / 2,4,6-trinitrobenzensulfonic acid |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎は、厚生省の特定疾患に指定されている疾患であり、薬物治療として、副腎皮質ステロイドであるプレドニゾロンの注腸液および坐薬による局所的な療法が臨床で実施されている。しかし薬物の一部が体循環に移行することにより副腎系が抑制されてクッシング症候群などの全身性副作用が発現することが報告されていることから、全身性の副作用が少ないステロイド剤の注腸液と坐剤の開発が望まれている。そこで、吸入剤などに用いられ、局所作用が強くかつ吸入後に血中へ移行した際に速やかに代謝されるため全身作用が少ないことが報告されているプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)を用いて、注腸液および坐薬の調製と臨床適用についての検討を試みた。 BDP注腸液と坐剤の製剤学的検討により、その調製法と使用方法は各々確立された。臨床では、プレドニゾロン注腸液で効果が得られず、満月様願貌などの副作用が発現した患者にBDP注腸液を投与して改善が見られ、その有用性が確認された。これらについては、学会発表を行ない、その中で注腸液については学術誌に掲載が予定されている。 BDP注腸液と坐剤の効果を詳細に解明するため、潰瘍性大腸炎モデルラットを作成して、投与後の効果を検討した結果、対照群と比較して、有意な症状の改善が認められ、臨床での効果が裏付けられた。注腸液については学会発表を行い、学術誌に掲載が予定されている。 局所投与後のBDPの体内動態から副作用の発現が少ない原因を解明するため、現在、BDP注腸液をラットに投与後の血中移行性について検討している。まだ、予備試験の段階であるが、静脈内投与と比較したそのアベイラビリティーは1%前後であり、移行性が低い薬剤であることが示唆されている。今後、代謝物を含めた検討を行う予定である。
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