1997 Fiscal Year Annual Research Report
消化管上皮細胞をターゲットとした遺伝子デリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
09672324
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高倉 喜信 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30171432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 元也 京都大学, 薬学研究科, 助手 (40273437)
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Keywords | 遺伝子治療 / 消化管上皮細胞 / Caco-2 / 分泌タンパク / インターフェロン / 分泌方向性 / カチオン性リポソーム / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
小腸をはじめとする消化管粘膜は極性を有する上皮細胞で覆われており、広大な表面積を持つと共に、投与の簡便な部位として遺伝子治療の格好のターゲット組織と考えられる。消化管上皮細胞に遺伝子を導入することで得られる薬物治療上の利点はいくつか考えられるが、とりわけ分泌性の生理活性タンパク質をコードした遺伝子を極性をもつこの細胞に導入・発現させることができれば、消化管管腔内の局所あるいは全身へのタンパク質医薬品のデリバリーが可能になると考えられる。しかしながら、消化管粘膜上皮細胞を対象にした遺伝子導入法に関してはほとんど検討が加えられていないのが現状である。そこで本研究では、消化管上皮細胞に薬物治療上有用と考えられる分泌性タンパク質の遺伝子を導入・発現させるためのデリバリーシステムを確立する目的で、消化管免疫にも関与していることが知られているサイトカイン、インターフェロン-β(IFN-β)の遺伝子をモデルとして取り上げ、培養細胞を用いた検討を行った。実験には、ヒト大腸癌由来で培養初期にはcrypt様の性質を有し、培養日数の経過と共に小腸のvilliに存在する細胞に分化することの知られているCaco-2細胞を用いた。カチオン性リポソームを用いてトランスフェクション実験を行ったところ、Caco-2細胞より活性を保持したIFN-βが分泌されることが示され、消化管上皮細胞への遺伝子導入が可能であることが示された。さらに、発現タンパクの分泌方向性を解析するためCaco-2細胞のIFN-β安定発現株を作製した。得られた細胞をTranswell上で培養した系を用いて解析した結果、IFN-βは、頂側膜側および側底膜側にほぼ均等に分泌されてくることが明らかとなった。以上のように、消化管上皮細胞をターゲットとした遺伝子治療を実現するための有用な基礎的知見が得られた。
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[Publications] Kenji Kawabata: "Non-polarized secretion of mouse interferon-β from gene-transferred human intestinal caco-2 cells." Pharmaceutical Research. 14(4). 483-485 (1997)
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[Publications] Taro Kanamaru: "Biological effects and cellular uptake of c-myc antisense oligonucleotides and their cationic liposome complexes." Journal of Drug Targeting. (in press).
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[Publications] Yoshinobu Takakura: "Cellular uptake properties of oligonucleotides in LLC-PK_1 renal epithelial cells." Antisense and Nucleic Acid Drug Development. (in press).