1997 Fiscal Year Annual Research Report
シクロスポリン及びタクロリムスによる振戦・けいれんの発現機序
Project/Area Number |
09672328
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片岡 泰文 九州大学, 医学部, 助教授 (70136513)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 了三 九州大学, 医学部, 教授 (90112325)
|
Keywords | 免疫抑制剤 / シクロスポリン / タクロリムス / 副作用 / 振戦 / セロトニン |
Research Abstract |
免疫抑制剤のcyclosporine A(CYA)及びtacrolimus(TCL)は、腎・肝・膵機能障害のみならず、中枢神経系障害の副作用を発現する。特に振戦・けいれんが最も多い。そこで、CYAとTCLの中枢性副作用である振戦の発現機序を明らかにすることを目的として実験を行った。 (1)薬物誘発振戦に対する作用:CYA(50mg/kg)及びTCL(3mg/kg)をマウス腹腔内に単回あるいは連続投与(1日1回、7日間)し、1時間後にharmine(10mg/kg)及びoxotremorine(0.3mg/kg)誘発振戦を調べた。CYA及びTCLの単回投与はharmine振戦を増大し、連続投与によりこの作用はさらに著明となった。しかし、両薬物(単回及び連続投与)はoxotremorine振戦には影響を及ぼさなかった。(2)脳内モノアミン含量および代謝回転に対する作用:(1)と同様にCYA及びTCLを投与したマウスを断頭し脳を摘出後、ドパミン(DA)、ノルアドレナリン(NA)、セロトニン及びそれぞれの代謝産物を抽出し測定した。また、両薬物の投与直後、α-methyl-p-tyrosineを投与しNAあるいはDA含量を、probenesidを投与し5-hydroxyindole acetic acid含量を、それぞれ経時的に測定することにより各モノアミンの代謝回転を算出した。両薬物を単回及び連続投与してもモノアミン及びその代謝物の含量に変化は認められなかった。CYAの単回及び連続投与はセロトニン代謝回転だけを高進した。TCL(単回及び連続投与)はどのモノアミン代謝回転にも作用しなかった。以上より、CYAの振戦発現にはセロトニン神経の活性化が重要であり、TCLのそれにはモノアミン神経系は関与しないことが示唆された。
|
Research Products
(1 results)