1999 Fiscal Year Annual Research Report
末梢血リンパ球の薬剤感受性に基づく免疫抑制療法の適正化と薬剤耐性機構に関する研究
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09672337
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
平野 俊彦 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (90173252)
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Keywords | ヒト末梢血リンパ球 / 薬物感受性 / 免疫抑制薬 / 臓器移植 / 自己免疫疾患 / 薬剤耐性 / サイトカイン / アポトーシス |
Research Abstract |
平成11年度は、自己免疫が関連すると思われる疾患の中で、特にネフローゼ症候群患者および潰瘍性大腸炎患者を対象に、平成10年度に引き続いてリンパ球の薬物感受性と薬物の治療効果との関連を詳細に検討した。 まず14例のネフローゼ患者を対象に、リンパ球のシクロスポリン(CyA)感受性とCyAの治療効果との関連について検討した。その結果リンパ球のCyA感受性は、CyA療法後の尿蛋白減少率あるいは完全緩解に至るまでの期間と有意に関連した。また、コレステロール値の高い患者は、CyAの治療効果にも応答しにくいことが示唆された。この関連については、平成12年度の研究において引き続き詳細に検討していきたい。次に、76例の潰瘍性大腸炎患者において、リンパ球のプレドニゾロン(PSL)、メチルプレドニゾロン(MPSL)、CyA、およびタクロリムス(FK506)感受性を検討した。これら免疫抑制剤に対するリンパ球の感受性には、大きな個体差が認められた。またリンパ球がPSL、MPSL、あるいはCyAに低感受性を示す患者の割合は、健常者に比べて有意に多いことも明らかとなった。しかしFK506に耐性を示す患者は検出されず、潰瘍性大腸炎における第一選択免疫抑制剤として、FK506の有用性が示唆された。またリンパ球のPSL感受性は、治療に用いたPSLの総投与量や投与期間と有意に相関した。このことから、リンパ球感受性を測定することにより、潰瘍性大腸炎におけるPSLの治療効果が予測できる可能性を指摘した。
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