2000 Fiscal Year Annual Research Report
末梢血リンパ球の薬剤感受性に基づく免疫抑制療法の適正化と薬剤耐性機構に関する研究
Project/Area Number |
09672337
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
平野 俊彦 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (90173252)
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Keywords | ヒト末梢血リンパ球 / 薬物感受性 / 免疫抑制薬 / ネフローゼ症候群 / 気管支喘息 / 潰瘍性大腸炎 / グルココルチコイド受容体 / 血清コレステロール |
Research Abstract |
平成12年度は、ネフローゼ症候群患者、喘息患者、および潰瘍性大腸炎(UC)患者におけるリンパ球のグルココルチコイド(GC)あるいはシクロスポリン(CyA)感受性低下の成因を検討した。喘息患者では、リンパ球のプレドニゾロン(PSL)耐性とGC受容体(GC-R)特性との関連は少ないものと考えられた。一方リンパ球のc-fos mRNA発現量の多い喘息患者では、GC感受性も低いものと考えられた。UC患者リンパ球のGC感受性と、GC-RαmRNA/βmRNA比との有意な関係は得られなかった。ネフローゼ患者では、リンパ球のCyA感受性に及ぼす血清LDL値の影響について検討した。ネフローゼ患者では血清LDL値の増加に伴い、リンパ球のCyA感受性が低下した。またリンパ球のLDL受容体(LDL-R)数が減っている患者では、CyA感受性も低下することを示唆した。このように、ネフローゼでは高脂血症に伴うLDL-RのダウンレギュレーションがCyA感受性低下の成因になっているものと思われた。 このように当該年度を通じ、各種免疫関連疾患におけるリンパ球の免疫抑制剤感受性の個人差や疾患特異性について明らかにすると共に、免疫抑制剤耐性機構が疾患によって異なることを示した。患者末梢血リンパ球を用いて種々の免疫抑制剤感受性を測定することにより、対象となる患者が一部の薬物に耐性を示す場合にも、他の薬物を治療薬として選択することが可能になると結論した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hirano T: "Comparative study of lymphocyte-suppressive potency between prednisolone and methylprednisolone in rheumatoid arthritis."Immunopharmacology. 49. 411-417 (2000)
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[Publications] Hirano T: "A comparison of prednisolone and methylprednisolone for renal transplantation."Clinical Transplantation. 14. 323-328 (2000)
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[Publications] Hirano T: "Clinical impact of cyclosporine cellular pharmacodynamics in minimal change nephrotic syndrome."Clinical Pharmacology and Therapeutics. 68. 532-540 (2000)