1999 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生の引き金となる初期因子の作用機構解明に基づく血管新生性疾患治療剤の開発
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09672343
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Research Institution | TOKYO METROPOLITAN ORGANIZATION FOR MEDICAL RESEARCH |
Principal Investigator |
芦野 洋美 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (40222608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島村 眞理子 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (00124462)
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Keywords | 血管新生阻害 / 硫酸化多糖 / bFGF / 血管内皮細胞 / 硫酸基 / 低分子化 |
Research Abstract |
今年度は、テキストラン硫酸(DS)を多量の血管新生促進因子bFGFと共に予めincubateした後、血管新生阻止活性が変化するかどうかを検討し、硫酸化多糖の作用機序の更なる解明を試みた。またbFGFとの結合に重要と想定される位置に硫酸基が存在するか否かで血管新生阻害効果が変化するかどうかを、ヘパリン(Hep)を用いて詳しく検討した。その結果、鶏胚漿尿膜を用いた系で、DSとbFGFとの予めのincubationはその血管新生阻止効果を減弱する、ということを明らかにすることができた。現在、bFGFとヘパラン硫酸(HS)の結合に重要と目されている硫酸基の位置が、in vitroまたは細胞レベルでは2位であると考えられ、6位が必要かどうか検討されつつある。しかしin vivoの系ではそれがどのように反映されるか明らかになっていない。Hep/HSの硫酸基は2位、6位および3位であり、DSの硫酸基の位置は主に2位と3位であるので、DSはbFGFとHSとの相互作用を阻止しうる構造と推察される。 次にHepの硫酸化クラスターの部分を用いて、2位の硫酸基を脱硫酸化したものと6位の硫酸基を脱硫酸化したもの両者で血管新生阻害活性の違いが生じるかどうかを調べた。その結果、鶏胚漿尿膜の系で、6位を脱硫酸化し2位に硫酸基が存在すれば血管新生の阻害活性が高くなると言うわけではなく、脱硫酸化せずに2位にも6位にも硫酸基が存在し硫酸含量の高いHepが強い阻害活性を示した。今回硫酸含量が全く同レベルではなかったため単純な比較が困難であったが、必ずしも細胞レベルやin vitroから推察される結果とは一致はしなかった。 本実験結果より、DS等硫酸化多糖の作用点が、HS結合性で血管新生の引き金となる初期因子とHSとの結合阻止であると考えられるので、2位と6位に硫酸基を持つ硫酸化オリゴ糖を合成し生体内での分解が遅くなる構造に修飾すれば、本研究の目標である易吸収性で強い血管新生阻害効果を発揮しうる治療剤開発の基盤がもたらされる。
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