1999 Fiscal Year Annual Research Report
血小板膜蛋白GP IV(CD36)の機能と発現調節に関する研究
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09672346
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
林 由紀子 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50125407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸村 近 旭川医科大学, 医学部, 助手 (40261408)
河端 薫雄 旭川医科大学, 医学部, 助手 (50195129)
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Keywords | 血小板 / シグナル伝達 / PKC / アラキドン酸 |
Research Abstract |
アラキドン酸を含む多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、血小板凝集を阻害する。一方、アラキドン酸の代謝物TxA2は血小板活性化に中心的な役割を担っている。昨年度我々は、血小板に対するアラキドン酸とTxA2の相反する作用は活性化するPKCのアイソザイムが異なるためであるとの結果を得た。即ち、カルシウム非依存性PKCがアラキドン酸により活性化されると、細胞質内PLCβが燐酸化され、その結果Gqα-PLCβの相互作用が妨げられる。結果的にGqα-PLCβ経由のシグナル伝達が抑制され、TxA2による血小板凝集も阻害されると推定した。今年度は、昨年度のカルシウム依存性PKC特異的阻害剤Go6976による結果を更に確実にするためにアラキドン酸によるPLCβの燐酸化をウェスタンブロッテイングにより検討した。血小板凝集を阻害する濃度のアラキドン酸はフォルボールエステルと同様にPLCBを燐酸化した。PKCのアイソザイム(カルシウム依存性、カルシウム非依存性)の特性のひとつに膜結合と細胞質内での活性化がある。アラキドン酸はカルシウム非依存性PKCの細胞質内での活性化を行い、TxA2はカルシウム依存性PKCの膜結合での活性化に関連している。即ちそれぞれの細胞内における作用の場は機能と密接に関係していると推定される。「アラキドン酸→CD36→カルシウム非依存性PKC→凝集阻害」の経路と「TxA2→Gqα→PLCβ→カルシウム依存性PKC→凝集」の経路の相互関連性が血栓・止血過程における血小板機能においてどのような生理的意義を有するのか、シグナル伝達過程での他の蛋白との関連も含めて検討を行っている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 林 由紀子、池田久實: "アラキドン酸による血小板凝集阻害反応"日本血栓止血学会誌. 10巻、5号. 369 (1999)
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[Publications] 幸村近、池田久實: "フローサイトメトリーを用いた抗血小板薬の効果判定"日本血栓止血学会誌. 10巻、5号. 378 (1999)
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[Publications] 幸村近、林由紀子、池田久實: "フローサイトメトリーを用いた活性化血小板の検出法"臨床病理. 47巻、5号. 447-452 (1999)
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[Publications] 幸村近、池田久實: "フローサイトメトリーによる血小板活性化の評価"Cytometry Reseach. 9(2). 67-72 (1999)
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[Publications] 幸村近、井出夏代、林由紀子、池田久實: "血小板の形態変化とGPIIb/IIIa活性化"臨床病理. 47巻補冊. 294 (1999)