1998 Fiscal Year Annual Research Report
機能性モノクローナル抗体を用いた自己免疫性甲状腺疾患の新しい検査法の開発
Project/Area Number |
09672355
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
須川 秀夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (70162857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小杉 眞司 京都大学, 医学研究科, 助手 (50252432)
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Keywords | 自己免疫 / 甲状腺 / TSH受容体 / 自己抗体 / Epitope Spreading |
Research Abstract |
1) B細胞系のDeterminant Spreading実験 モノクローナル抗甲状腺刺激ホルモン受容体(TSH-R)の結合活性と生物学的活性分析をした。代表的な抗体を放射性ヨード標識し、甲状腺細胞への結合アッセイ系を作成し、抗体の相互の競合作用やバセドウ病患者血清を用いて各モノクローナル抗体の結合阻害活性を調べた。N端、C端を認識する抗体において、バセドウ病患者血清によって有意な結合阻害現象を示すものを認めたが、臨床病状や経過と結合阻害活性の間には特定の関連性は認められなかった(平成10年臨床病理学会近畿支部総会発表)。 2) T細胞系のDeterminant Spreading実験 合成ペプチドを定期的に免疫し、経時的にマウスの活性型T細胞を分泌サイトカインで追跡した(平成10年日本内分泌学会総会発表)。抗原特異性ELISPOT法を用いた検討では、IFN-γはTSH-R抗原に対する免疫反応の変化は生じなかったが、IL-4産生細胞数が著増し、TSH-Rに特異的なTH2細胞系の活性化が誘導されることが明らかとなった。認識エピトープは抗原に用いたC端インサート部分(354-367)以外の複数の箇所にも出現し、T細胞レベルでのDeterminant Spreadingが実証できた。TH2細胞の活性化と血中抗体価は有意な正の相関を示し(P<0.001)、B細胞系のDeterminant Spreading現象を裏付ける成績となった。ヒト末梢血を用いた抗原特異性ELISPOT法の安定したアッセイ系を設立し(平成11年臨床病理学会近畿支部総会発表予定)、健常人と自己免疫性甲状腺疾患患者において、IFN-γとIL-4分泌性を通して、TSH-Rに対する活性化T細胞のサブグループを調べた。TH1系には大きな差がないが、バセドウ病患者では、IL-4産生細胞スポット数が著増しており、TSH-Rペプチドの添加によって、更にその活性化が促進されることが明らかとなった(平成11年日本内分泌学会総会発表予定)。バセドウ病患者がTH2細胞系の活性化が生じていることが実証できたとともに、TSH-Rペプチドを用いた抗原特異的ELISPOT法によって、自己免疫性甲状腺疾患患者の診断に有用な新しい検査法の基盤が開発できたものと考える。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hideo Sugawa,Toshihiro Ueda,Michiko Ueda,Shinji Kosugi,Satoshi Ichiyama and Toru Mori: "lmmunization with the ‘immunogenic peptide' of TSH receptor induces oligoclonal antib odies with various biological activities." Peptides. 19. 1303-1307 (1998)
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[Publications] Akio Yoshida,Norihito Sasaki,Atsusi Mori,Shinichi Taniguchi,Yoshihiro Ueta,Kimihiko Hattori, Yasunori Tanaka,Osamu Igawa,Mariko Tsuboi,Hideo Sugawa,Ryoichi Sato,Ichiro Hisatome,Chiaki Shigemasa,Evelyn F.Grollman,Shinji Kosugi: "Differences in the electrophysiological response to I^- and the inhibitory anions SCN^- and CLO_4^-,studied in FRTL-5 cells." Biochimica et Biophysica Acta. 1414. 231-237 (1998)
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[Publications] Hideo Sugawa,Michiko Ueda,Akira Matsuda,Noritaka Hai,Akio Yoshida and Shinji Kosugi: "Lack of measurable maximal capacity of inorganic iodide pool in non-thyroid cell." International Journal Thyroidology,Clinical and Experimental. (in press). (1999)
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[Publications] 上田路子、須川秀夫、森徹: "TSH受容体高免疫原性領域相当合成ペプチドの連続免疫によって生じるマウスT細胞応答性の経時的変化" 第71回日本内分泌学会学術総会抄録集. 74. 107 (1998)
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[Publications] 上田路子、裴 紀堯、小杉眞司、一山 智、森 徹、須川秀夫: "モノクローナル甲状腺刺激ホルモン受容体抗体の臨床応用のための基礎検討(1)" 第41回日本臨床病理学会近畿支部総会抄録集. 82 (1998)