1998 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞系腫瘍とNK(ナチュラル・キラー)系腫瘍の未分化段階における鑑別の研究
Project/Area Number |
09672357
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
巽 英二 神戸大学, 医学部, 助教授 (20192172)
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Keywords | T-ALL / LBL / NK(Natural Killer) / preTCill receptor α(pTα) |
Research Abstract |
第2年度(今年度)に、preT α(pre-T-ce11 receptor alpha)遺伝子発現の分布を調べて来た。この分子は、TCR(T細胞受容体)のβ鎖が発現され、α鎖について発現の無い、T細胞系統の分化段階で発現され、TCR β鎖とへテロ2量体を形成し、T細胞の初期分化段階のクローン選択に寄与するとされてきた。 T-ALL株細胞の15種類(α・β鎖のもの10種類、γ・δ鎖発現のもの3種類、T細胞受容体を表面に発現していないもの2種類),更に我々がEBV陽性である点を記載した(Leukemia 6:136、1992)、NK(natural killer)株細胞であるYTについてpreT α mRNA発現をRT-PCRにより調べた。 (膜表面にTCR発現のある)胸腺段階由来の株細胞には、強い発現が認められた。又、γ・δ鎖を発現する株細胞3種類の総てにβ鎖の単クローン性再構成と弱い発現を認め、総てpreT αの発現を認めた。YTでは発現を認めなかった。 膜表面にTCR α鎖が認められるようになれば、preT α発現は消失するとされているのが、通説なので、α・β鎖を発現する株細胞でのpreT αの発現は、第1の新知見である。又、3つのγ・δ鎖発現のT-ALLは、β鎖遺伝子の単クローン性再構成があり、若干のβ鎖分子が生じている可能性があるが、それらで、preT αの発現が認められたことも、β鎖分子の産生が少しでもあれば、γ・δ鎖を発現する分化経路に属していてもpreT αを発現する場合があることになり、通説とは異なる。これが第2の新知見である。 これら2つの新知見が、preT αの発現分布を調べることにより明らかになった。、しかし、NKの未分化段階由来と目されるC7+CD2+の症例に遭遇することはこの間なかった。しかし、この報告書の執筆中に1例を認め、検索中である。
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[Publications] Hasegawa D, Tatsumi E et al: "Evaluation of the serum Fas ligand in patients with, hemophagocytic syndrome and Diamod-Blackfan anemis." Blood. 91(8). 2793-2799 (1998)
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[Publications] Sano K, Tatsumi E et al: "Translocation (10;12)(q24;q15) in a T-cell lymphoblastic lymphoma with myeloid hyperplasia." Caha.Genet Cytogonet. 105(6). 168-171 (1998)
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[Publications] Mizuki M, Tatsumi E et al: "Phenotypic heterogeneity of Cd_<4+> CD_<8+> double positive chronic T lymphoid leukemia." Lenkemia. 12(4). 499-504 (1998)