1997 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化発症・進展における血管壁クラミジア・ニュモニエ感染の病態検査学的検討
Project/Area Number |
09672362
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
西村 眞人 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (50218202)
|
Keywords | 動脈硬化 / 大動脈瘤 / 冠動脈硬化 / クラミジア・ニュモニエ / PCR / 血管 |
Research Abstract |
1.ヒト動脈硬化組織内のClamydia Pneumoniae(C.Pneumoniae)の存在の確認 腹部大動脈瘤手術に採取した動脈硬化血管20例を使用して以下の検討を行った。 (1)血管壁C.Pneumoniaeの免疫組織学的検討 ホルマリン固定した動脈硬化血管をパラフィン抱理後4μm厚に薄切し、hematoxylin-eosin染色ならびにC.Pneumoniaeに対する特異的モノクローナル抗体を用いた免疫組織学的検肘の結果、検討した20例の動脈硬化壁のいずれにもC.Pneumoniaeを見いだすことはできなかった。 (2)PCR法による血管壁C.Pneumoniaeの存在の確認 C.Pneumoniaeに対する特異的プライマーを用いてnested P CR法を施行した結果、上記20例中2例に陽性所見を認めた。陽性所見を認めた2例と他の18例との間には、動脈瘤の臨床病理学的差異はなかった。 2.冠状動脈硬化と血清中の抗C.Pneumoniae特異抗体価 心臓カテーテル検査にて冠動脈病変の有無が明らかである125例を対象に、血清中の抗C.Pneumoniae特異抗体価(lgA、lgG)をELISA法により測定した。以下、抗体価をindexで表す。血清lgA、lgGレべルともに、冠動脈病変の有無により有意の差異を認めなかったが、経皮的冠動脈形成術(PTCA)後再狭窄をきたした例は非再狭窄例に比べて、血清中の抗C.Pneumoniae特異抗体価は有意に高値を示した(lgA:1,86±0.11 vs 1.24±0.15,p<0.01;lgG:1.69±0.14 VS 1.16±0.11,p<0.05)。 現在までに得られた成績では、C.Pneumoniae感染は動脈硬化の発症そのものに対してというよりも、動脈硬化の進展、血言障害に対する内膜新生などに関与している可能性が考えられる。
|