1999 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴を用いたブドウ球菌および(病原性)大腸菌の新しい菌株同定の研究
Project/Area Number |
09672363
|
Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
大原 智子 自治医科大学, 医学部, 講師 (10291626)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 喜久 自治医科大学, 医学部, 助教授 (20129026)
|
Keywords | 核磁気共鳴 / NMR / 黄色ブドウ球菌 / 菌株同定 |
Research Abstract |
本年度も昨年に引き続き、プロトン核磁気共鳴(^1H NMR)分光器を用いて測定した50菌株のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のNMRスペクトルの解析を行った。再現性の検討では50菌株のうち無作為に4菌株を選択し、それぞれ日を変えて5回培養を繰り返した上で、やはり日を変えてNMR分光器で測定をおこなった。4菌種のNMRスペクトルにおける各々のグループの積分強度の平均±標準偏差(分散係数%)はグループAでは0.53±0.02(3.77)、0.41±0.03(7.32)、0.42±0.02(4.76)、0.59±0.03(5.08)、グループBでは4.32±0.19(4.40)、3.95±0.21(5.32)、4.60±0.18(3.91)、3.69±0.24(6.50)、グループDでは0.30±0.02(6.67)、0.38±0.03(7.89)、0.26±0.01(3.85)、0.31±0.03(9.68)、グループEでは1.33±0.19(14.29)、0.42±0.14(33.3)、1.03±0.21(20.4)、0.82±0.23(28.05)、グループFでは2.43±0.13(5.35)、2.29±0.15(6.55)、1.90±0.09(4.74)、2.74±0.14(5.11)であった。グループE以外は10%以下の分散係数であり再現性は良好であると考えられるが、グループEは同じ菌株でもばらつきが大きく、このグループを構成する分子は培養や測定条件で変化すると考えられる。 また院内感染が疑われた2患者から採取されたMRSAのDNAのパターンとNMRスペクトルを比較した。SmaIで切断したDNAの泳動パターンは2菌株で一致し、NMRスペクトルも極めて類似しておりその相関係数は0.998であった。 再現性は良好であり、MRSAの菌株間の差異は同じ菌株間より大きいため菌株の同定にもNMRが有用な手段になりうる可能性がある。さらにDNAパターンが同じ菌株ではNMRスペクトルの相関係数も高く、今後NMR以外の菌株同定法との比較も興味がもたれる。
|
-
[Publications] Ohara Tomoko: "Contaminated ultrasound probes : a possible source of nosocomial infections"J Hosp Infec. 43. 73-73 (1999)
-
[Publications] Ohara Tomoko: "Reevaluation of laboratory parameters in relation to histological findings in primary and secondary S*ogren's syndrome"Internal Medicine. (in press).