1998 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍マーカー糖鎖を合成する糖転移酵素分子種の特異的検出法の開発
Project/Area Number |
09672371
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Research Institution | Aichi Cancer Center |
Principal Investigator |
神奈木 玲児 愛知県がんセンター, 病理学第二部, 部長 (80161389)
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Keywords | 大腸癌 / 血行性転移 / シアリルトランスフェラーゼ / スルホトランスフェラーゼ / フコシルトランスフェラーゼ / シアリルLe^x / シアリルLe^a |
Research Abstract |
糖鎖性の腫瘍マーカーのうち、1型基幹糖鎖グループの代表であるCA19-9(シアリルLe^a)と2型基幹糖鎖グループに分類されるシアリルSSEA-1(シアリルLe^X、SLX)は、血管内皮細胞に存在する細胞接着蛋白質セレクチンのリガンドであり、癌の血行性転移を促進する。我々は、大腸癌のシアリルトランスフェラーゼを検索して、とくにST3OおよびST3Gal II分子種のmRNAが、癌で有意に増加していることを見いだした。ST3Oについては統計的にp<0.0001であるのに対して、ST3Gal IIについてはp<0,001であり、ST3O分子種mRNAの増加の方が著明であった。また、従来から乳癌の腫瘍マーカーとして用いられてきたNCC-ST-439において検出されている糖鎖が、特殊なムチンコアGlcNAcβ1→6GalNAcα上のシアリルLe^Xであることを見出し、これもセレクチンに対する接着活性を持つ生理活性糖鎖であることを報告した。さらに、大腸組織にはGlcNAcβの6位が硫酸化されたシアリル6-スルホLe^Xが存在することを見出した。特異的単クローン抗体を作成して検索したところ、シアリル6-スルホLe^Xが癌においては非癌組織よりも有意に減少することが判明した。このことは、癌化にともなってGlcNAcβの6位の硫酸化が低下することを示唆している。これに対して、3'-スルホLe^Xや3'-スルホLe^aは、特異抗体による検索の結果、癌部と非癌部での分布に有意差がないことが判明した。このことは、硫酸化一般が癌化によって低下するのではないことを示唆しており、GlcNAcβの6位の硫酸化の低下が特異的な現象であることを示す。古くから大腸癌においては、癌化に伴って、スルホムチンが減少し、シアロムチンが増加することが指摘されてきた。増加するシアロムチンの糖鎖構造は、シアリルLe^aやシアリルLe^Xが主体をなしていると考えられるが、減少するスルホムチンの実体は、従来いわれてきた3'-スルホLe^Xや3'-スルホLe^aではなくて、6-スルホ系の分子種であると考えられる。癌化に伴って低下する6-スルホトランスフェラーゼのクローニングが今後必要であると考えられる。
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[Publications] Mitsuoka,C.,Sawada,M.,Ando,K.,et al.: "Identification of a major carbohydrate capping group of the L-selectin ligand on high endothelial venules in human lymph nodes as 6-sulfo sialyl Lewis x" J.Biol.Chem.273. 11225-11233 (1998)
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[Publications] Kumamoto,K.,MItsuoka,C.,Izawa,M.,et al.: "Specific detection of sialyl Lewis x determinant carried on the mucin G1cNAcβ1->6Ga1NAc α as tumor-associated antigen" Biochem.Biophys.Res,Commun.247. 514-517 (1998)
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[Publications] Uchimura,K.,Muramatsu,H.,Kadomatsu,K.,et al.: "Molecular cloning and characterization of an N-acetylglucosamine-6-0-sulfotransferase" J.Biol.Chem.273. 556-564 (1998)
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[Publications] Fan,Q.W.,Uchimura,K.,Yuzawa,Y.,et al.: "Spatially and temporally regulated expression of N-acetylglucosamine-6-0-sulfotransferase during mouse embryogenesis" Glycoconjugate J.(in press). (1999)
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[Publications] Mitsuoka,C.,Ohmori,K.,Kimura,N.,et al.: "Regulation of selectin binding activity by cyclization of sialic acid moiety of carbohydrate ligands on human leukocytes" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. (in press). (1999)
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[Publications] Komba,S.,Galustian,C.,Ishida,H.,et al.: "First total synthesis of 6-sulfo de-N-acetyl-sialyl Lewis x ganglioside:a superior ligand for human L-selectin" Angew.Chem.(Engl). (in press). (1999)
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[Publications] Kannagi,R.: "Leukocyte Typing VI." Garland Publishing Inc., 348-351 (1998)
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[Publications] Kannagi,R.: "Leukocyte Typing VI." Garland Publishing Inc., 352-355 (1998)