1998 Fiscal Year Annual Research Report
障害児と健常きょうだいの関係の特徴とその発展に関する縦断的研究
Project/Area Number |
09672390
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
泊 祐子 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60197910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古株 ひろみ 滋賀県立大学看護短期大学部, 看護学科, 助手 (80259390)
大槻 知子 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10283574)
石川 清美 広島県立保健福祉短期大学, 看護学科, 助教授 (20280183)
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Keywords | 障害児 / きょうだい / 家族看護 / 相互作用 / 観察 |
Research Abstract |
第一次調査として、障害児をもつきようだい13組と対照群(年齢と性を合わせた)となる健常きようだい13組の遊び場面とおやつ場面を設定し各10分間ビデオ撮影とともに母親への聞き取り調査を行ったことは、昨年報告した。 本年度は第二次調査として、障害児きようだい4組を継続して1年後に遊び場面のビデを撮影を家庭を訪問し行った。同時にきょうだいの成長とかかわりの変化を母親に聞き取りを行った。 選択した4組の対象は、A:ダウン症の4才9ヶ月の妹と10才5ヶ月の姉、B:肢体不自由・精神発達遅滞児4才0ヶ月の弟と7才2ケ月の姉、C:ダウン症の5才2ヶ月の妹と7才8ヶ月の兄、D:脳性麻痺の4才4ヶ月の妹と6才10ヶ月姉である(年齢は第1回調査時のもの)。 ビデオの分析方法は、障害児とそのきょうだいの遊び場面を10分間ビデオに撮影した。その10分のテープを10秒間のインターバルごとに、きょうだいの相互作用をカテゴリーに分類し、分析を行った。 相互作用カテゴリーは、起因行動(好意的行動、支配行動、無意図行動)、呼応行動(肯定的行動、否定的行動)、その他(大人とのかかわり、単独行動、共同作業)に分類した。 その結果、4組全体のカウント数では明らかな差は認められなかった。4組ごとに比較してみると、4組とも障害児からの好意的な起因行動に対して、きょうだいは肯定的に呼応行動をした。同様に、きょうだいの好意的な起因行動に対して、障害児が肯定的呼応行動で対応するという好意的なやりとりが最も多く見られた。その行動については、成長による大きな変化は見られなかった。一方、共同作業においては個々の組について特徴的な違いが見られた。特に、事例Bでは、単独行動が一年後の遊び場面で増えていた。加えて、母親の聞き取り調査でも、「以前は世話をしなければという感じであったが、今は『自分でできるのに』とめんどくさそうに応じている」と、一年間の姉の変化について語った。母親Bは姉の変化に対しては、障害きょうだいの世話を任せる部分が増えたという点についての認識も強かった。障害児の世話に対する姉への期待の大きさを伺わせた。しかし、ビデオにみるきょうだいの相互作用についての変化からは、姉の実際の行動と母親の思いとのずれという問題が、現われはじめていると考えられた。
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[Publications] 泊祐子 竹村淳子他: "障害児とそのきょうだいの相互作用について(1)" 第5回日本家族看護学会学術集会集録. 27 (1998)
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[Publications] 竹村淳子 泊祐子他: "障害児とそのきょうだいの相互作用について(2)" 第5回日本家族看護学会学術集会集録. 28 (1998)
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[Publications] 古株ひろみ 泊祐子他: "二時点における障害児とそのきょうだいの相互作用の変化" 第12回日本看護研究学会近畿北陸・中国四国地方会学術集会抄録. 37 (1999)