1999 Fiscal Year Annual Research Report
住宅ケアにおける医療事故の把握と訪問看護婦の注意義務についての分析
Project/Area Number |
09672399
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
石井 トク 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (10151325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 恭子 岩手県立大学, 看護学部, 講師 (00263674)
甲斐 克則 広島大学, 法学部, 教授 (80233641)
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Keywords | 在宅ケア / 訪問看護 / 医療事故 / 訪問看護婦の責任 |
Research Abstract |
疾病構造の変化や高齢化現象に伴い、訪問看護は老人保健法(昭和57.8.17)に基づいた訪問看護事業、健康保険法の一部改正(平成6.1.15)による医療法人の訪問看護事業が施行されるようになった。 老人保健法の看護職の業務は「家庭における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護(17条4項)」、「訪問看護は、その心身の状況、その置かれている環境等に照らして療養上の保健指導が認められるものについて、保健婦その他の者を訪問させて行われる指導とする(第19条)」ことであり、健康保険法による医療行為は、在宅自己注射、在宅自己導尿、在宅経管栄養、在宅自己腹膜還流(CAPD)、在宅酸素療法(HOT)、在宅中心静脈栄養法(HPN)、及び悪性腫瘍患者に対する在宅化学療法及び鎮痛療法などである。したがって、高度な専門的知識と技術を兼ね備えていることは言うまでもなく、アセスメント能力が求められるようになったが、ケア提供者の質が保証されているとは言えない。そこで本研究では、岩手県で訪問看護に従事している看護職247名(病院の訪問看護部門169名、訪問看護ステーション78名に対して「在宅のケア」に関する医療事故を把握した。 その結果、「ミス」および「ハッとした」経験の合計件数は326件であった。最も多かったのが「患者の転倒」106件、次いで「カテーテル類の処置時の清潔操作ミス」78件、「与薬・服薬の誤り」56件、「医療機器の操作ミス・故障」24件、「処置中・処置後の患者の急変」15件、「看護者自身の事故」19件などであった。 訪問看護従事者の職種の多くは看護婦であるが、准看護婦が14%を占め、保健婦はわずか4%であった。現在、患者のQOLの向上として在宅医療を推進しているが、理念と実態との乖離がある。また、病院で発生しやすい医療事故と在宅ケアでの事故は様相が異なることが明らかになった。
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