2000 Fiscal Year Annual Research Report
在宅ケアにおける医療事故の把握と訪問看護婦の注意義務についての分析
Project/Area Number |
09672399
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
石井 トク 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (10151325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 恭子 岩手県立大学, 看護学部, 講師 (00263674)
甲斐 克則 広島大学, 法学部, 教授 (80233641)
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Keywords | 在宅ケア / 訪問看護 / 医療事故 / 訪問看護婦の責任 |
Research Abstract |
岩手県内の訪問看護部門を有する病院69施設および訪問看護ステーション32施設に勤務する訪問看護婦を対象に質問紙調査を実施し、247名から回答を得た。訪問看護婦の業務内容を5つのカテゴリー、すなわち(1)医療機器の操作を伴うケア、(2)高度な看護技術、(3)生活援助、(4)動静、(5)指導に分類にすると、カテゴリー別業務内容の主なものは、(1)「経管栄養」「酸素療法」(2)「服薬管理」「褥瘡処置」(3)「衣服着脱」「排泄」(4)「機能訓練」「体位変換」、(5)「家族に対する療養指導・精神的支援」「患者に対する療養指導・精神的支援」であった。 在宅における「ミス」は62件、「ニアミス」は264件であった。「ミス」では、「与薬・服薬の誤り」が18件(20.8%)と最も多く、次いで「処置時の清潔操作」6件(9.7%)の順であった。「ニアミス」は「患者の転倒」が99件(37.5%)と最も多く、次いで「処置時の清潔操作」70件(26.5%)、「与薬・服薬の誤り」38件(14.4%)、「医療機器などの操作・故障」20件(7.6%)の順であった。これらの「ミス・ニアミス」事例に対応するカンファレンス実施の有無をみると、「定期的に実施している」が22名(8.9%)、「不定期に実施」152名(61.5%)であった。一方、「実施していない」が57名(23.1%)に見られ、ミスの体験が看護婦間で十分に共有されず、今後の対策に生かされていない実態が明らかになった。また、医師との連携で「いつでも連絡がとれる」は約60%であることに鑑み、在宅療養患者に対する「医療・看護」と「介護」体制に課題が多いことが示唆された。 さらに在宅ケアをしていた患者の死亡診断書をめぐるトラブルに遭遇した看護者は6名、遭遇しなかったが聞いたことがある看護者は38名であったことから、法的問題も無視できない状況にあることが明らかになった。
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