1998 Fiscal Year Annual Research Report
老人保健施設の看護の機能に関する研究-老年者と家族の意識を中心に-
Project/Area Number |
09672410
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
巻田 ふき 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教授 (90219303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穂積 恵子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助手 (60274982)
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Keywords | 老人保健施設 / ストレス / 施設看護 / 終末期ケア / 満足度 |
Research Abstract |
老健施設における看護職員の業務内容、ストレスの原因、仕事に対する満足度および病院との看護業務の相違等について、茨城県内の全施設(41施設、回収率68.3%)を対象に実態調査を行い、その現状分析を通して看護職の役割と今後の課題について考察した。 看護・介護職による業務区分が行われている施設は4分の3あり、主に看護職員が担当している業務は、「医療物品の管理」、「診療の介助」が90%以上、「与薬」、「バイタルサン」が70〜80%を占める。一方、特に区分していない業務としては、「食事介助」、「ベッドメーキング」、「おむつ交換」、「清拭・入浴介助」、「生活・集団リハビリ」等が70〜90%を占めており、茨城県では看護・介護職員が協働でこれらの業務を遂行している比率が全国平均よりも高かった。看護職員のストレスの原因となっているのは、「医療上の責任の重さ」が最も多く70%以上で、夜勤など医師不在時における対処の責任等がその主な要因となっている。老健施設における仕事に対しては70%前後が満足しているものの、「業務内容で介護面が多くなり(本来行うべき)看護が不十分」、「看護職員の人員不足」等が改善すべき問題点として挙げられている。病院との看護業務の主な相違点としては、「病院は治療の場であり、老健施設は生活・療養の場である」、「幅の広い、きめの細かい観察力と判断力が要求される」、「病院以上に精神面のケアが重要になる」等の意見が多かった。 看護職員にとって老健施設はやり甲斐のある職場となっているが、施設では救急時における正確で速やかな判断と処置が看護職に求められることが多く、病院における救急処置の経験の豊富さが重要になる。その経験の蓄積と共に若手看護職員の育成が課題となる。また、老健施設で亡くなる人の数が増えており、その傾向は今後益々強まるものと推察される。老健施設における終末期のケアの必要性とそのあり方も今後の重要な課題となろう。
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