1999 Fiscal Year Annual Research Report
老人保健施設の看護の機能に関する研究-老年者と家族の意識調査を中心に
Project/Area Number |
09672410
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Research Institution | IBARAKI PREFECTURAL UNIVERSITY OF HEALTH SCIENCES |
Principal Investigator |
巻田 ふき 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教授 (90219303)
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Keywords | 老人保健施設 / 在宅支援 / 終末期ケア |
Research Abstract |
老人保健施設(以下老健施設)を対象にした2つの調査を、医療状況および終末期ケアのあり方に視点をおいて分析した。また、施設のケアや地域の他機関との連携によって在宅復帰が可能となった事例、あるいは長期入所の状態にある事例、施設から病院受診あるいは緊急医療対応が必要であった事例、施設において終末期ケアが果たせた事例などを検討した。 老健の機能は家庭復帰施設としての機能を求められてはいるものの、地域内の他の関連施設の整備状況や地域性などによっては、長期療養・終末期ケアの機能が求められていた。医療実施状況をみると、酸素吸入、吸引・吸入、留置カテーテルの交換と管理はほぼ全施設で行われていた。膀胱ろう・人工肛門の管理、経鼻経管栄養は約70%、持続点滴は33%、気管切開とその管理、癌の痛みのコントロールは約15%の施設で実施されていた。1年間に緊急入院した人の数は、施設毎の差が大きかったが、4〜6人という施設が多く、その理由は、転倒による骨折、肺炎、心筋梗塞、脳梗塞などであった。施設内での終末期ケアは、亡くなった人がいないという施設が約40%であり、1〜2人という施設が半数、3人以上という施設は1施設にすぎなかった。死亡理由は、急性心不全が多く、殆どは急変で亡くなっており、結果として施設で看取りが果たされた例であった。しかし中には、積極的な医療は望まず、緩和医療を望んで老衰によって亡くなった例もあった。 これまで老健は在宅復帰施設としての機能が重要視されており、終末期ケアを行おうという施設は少なかった。しかし、長期療養・終未期ケアの充実を考えていかなければならないとしている施設が多くなってきており、この課題は重要である。今後は看護・介護体勢や職員の終末期ケアに対する意識なども合わせて研究をすすめ、今後の老健のあり方を検討していきたい。
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