1999 Fiscal Year Annual Research Report
重症心身障害児(者)に対する母親支援型「療育相談モデル」の開発研究
Project/Area Number |
09672429
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Research Institution | KIBI INTERNATIONAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
牛尾 禮子 吉備国際大学, 保健科学部, 助教授 (80281525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郷間 英世 兵庫教育大学, 障害児教育講座, 教授 (40234968)
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Keywords | 重症心身障害児(者) / 母親支援 / 療育 |
Research Abstract |
研究者らは、本研究の目的とする重症心身障害児(者)に対する母親支援型「療育相談モデル」の開発に3年間取り組んできた。 その成果として、すでに報告してきたが、母親たちの意識と行動の変化が挙げられる。具体的には、短期入所を気軽に利用することができる、母親たちが相互に協力する姿勢の確立、全国重症心身障害児(者)を守る会の全国大会への参加、など、内的・外的に広がりと深まりが見られた。療育相談は、母親たちの安全な基地として機能し、母親のストレスを軽減し、自己改革への一役を担ったといえる。 また、研究を進めていくうちに、より深刻な問題も浮き彫りになった。母親たちの家庭生活の実態は、子どもと家事を中心とした毎日であり、母親自身の自由になる時間は、ほとんどなかった。多くの母親の生活実態は、類似傾向を示し、パターン化したものであった。しかしながら母親は、ストレスを封じ込め、明るく振る舞おうとする態度が見られた。これらのことから、夫、姑、同胞の理解や協力など、家族ケアの必要性も示唆された。さらに、社会には、障害を持つ子どもとその母親を特別視する、憐憫の対象とする、母親の一人頑張りを美談とするなど、母親と子どもは孤立していく条件がそろっている。 療育相談は、社会を十分意識しながら、障害児(者)と母親・家族の個別的な生活や意識に目を向け、丁寧につきあうことが重要である。 また、子どもを亡くした母親は、子どものケアに莫大な時間を費やしていたために、子ども亡き後、生活が空虚となり、地域、近隣とのつながりも希薄なために、強烈な孤独感に襲われ、再び孤立化する恐れがあることも判明した。療育相談は、子どもの亡き後のフローも重要であることが示唆された。さらに、療育相談に参加不可能な在宅の子どもと母親へのケアが今後の課題である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 牛尾禮子: "在宅重症心身障害者をもつ母親支援の検討-日常生活の実態から-"第29回日本看護学会論文集 小児看護. 96-98 (1999)
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[Publications] 牛尾禮子,郷間英世: "子どもの死に対する母親の心情とそのケアについて"第25回日本重症心身障害学会抄録集. 50 (1999)
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[Publications] 郷間英世,牛尾禮子: "重症心身障害児・者のQOL-子どもを亡くした親への調査によるSubjective QOLの検討"第25回日本重症心身障害学会抄録集. 49 (1999)
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[Publications] 牛尾禮子: "重症者を養育する母親が受ける二次的差別構造"日本社会福祉学会 第47回全国大会報告概要集. 229 (1999)
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[Publications] 牛尾禮子,郷間英世: "Development of motherhood of the mothers who have children with severe motor and intellectual disabilites"14th Asian Conference on Mental Retardation(ACMR). 15 (1999)
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[Publications] 郷間英世,牛尾禮子: "Subjective quality of life of children with severe motor and Intellectual disabilities"14th Asian Conference an Mental Retardation(ACMR). 15 (1999)