1997 Fiscal Year Annual Research Report
加熱牛肉のペプチド画分の呈味効果およびペプチドの特徴
Project/Area Number |
09680004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石井 克枝 千葉大学, 教育学部, 助教授 (80106947)
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Keywords | 加熱牛肉 / ペプチド / 呈味 / 加熱時間 |
Research Abstract |
目的:加熱牛肉中に生成するペプチドの呈味への影響を調べることを目的とした。本年は、肉の長時間加熱がペプチドの生成と呈味にどのような影響を及ぼしているのか調べた。 方法:試料はオーストラリア産ス-プ用牛肉を用いた。ス-プ中に抽出された呈味成分を調べるために水中にて1、3、6、12および24時間85〜90℃で加熱した(ス-プ試料)。また、加熱肉中に生成する呈味成分を調べるために真空パックした状態の牛肉を同様の条件で加熱した(肉試料)。ス-プ中の呈味成分の調製は脱脂後、除タンパクし、減圧濃縮後凍結乾燥した。加熱肉中の呈味成分は加熱肉を肉と同量の水を加えてホモジナイズ後、同様に処理した。呈味成分として、5′-IMP(高速液体クロマトグラフィー)、乳酸(酵素法)、還元糖(ソモギ・ネルソン法)、遊離アミノ酸・ペプチド(アミノ酸アナライザー)を定量した。また、ス-プ試料の加熱時間による呈味比較は官能検査(2点識別嗜好法変法)により調べた。 結果:呈味成分は1時間までの加熱で多く生成し、その後6時間までは減少した。しかし、その後12時間加熱でまた呈味成分は増加する傾向であった。5′-IMP、還元糖、遊離アミノ酸、ペプチドは12時間加熱で最大であった。乳酸は24時間加熱が最大となった。この経時的変化はス-プ試料と肉試料では5′-IMPを除いて同じ傾向を示した。肉試料において5′-IMPは1時間加熱で最大量を示した。ス-プ試料の官能検査の結果、12時間加熱ス-プの呈味がもっとも強く、特にうま味、こくが強く、好ましいと評価された。12時間加熱ス-プには他のス-プと比較して5′-IMPとペプチドの割合が多く、これらがうま味とこくの強さに寄与してえいると考えられた。
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